
(河合)
そうそう。関西の人がよく「アホか」と言うでしょう。教授同士で「アホか」「アホか」って言っているのは、アホばっかり教授になってオモロイことやってるからなんです(笑)。東京はたいへん賢い人ばかり教授になっていますからね。関西は本当にアホがいっぱいいます。
(中沢)
関西はアホじゃないとだめだと思います。
河合隼雄さんと中沢新一さんの対談である『ブッダの夢』第6章「汎神論風夢理論のこね方」の、10番目の見出し「資本主義の悪夢をコントロールしようとした社会主義という夢理論」を取り上げる4回目です。
引用は、前回の続きです。京都大学で教授職を務める河合さんの「関西愛」がさく裂します(笑)。郷土というのは、まさしくその人の骨格を育んでいく。
関西では、日常会話であたりまえ(空気のよう)に使われる「アホ」が、ここでも多頻度に披瀝されます(笑)。よく「アホ」と「バカ」の違いが語られますが、「アホ」こそ、関西言葉の「秘蔵っ子」というか、人と人の間を見事に取り持つ「潤滑油」そのものですね(笑)。
お二人の対話にアクセルがかかります。「アホ」から始まる化学反応は、東京(市)月島出身の吉本隆明さんにまで言及されます。続きを引用します。
(河合)
ちょっとアホじゃないとなれないところがありますね。
(中沢)
というか、それでいったらやっぱり東京にかなわないですよ。同じ頭の良さで競争しようとしてもだめだと思います。
(河合)
それはもうだめです。
(中沢)
関東には関東なりの頭の悪さがあって、僕は吉本隆明さんには、関東的な頭の悪さを感じるんです。
(河合)
あの人はすごいですよ。頭の良さといいかげんさが……。
(中沢)
見事に結合していますよね。
(河合)
あんな人は珍しいです。
(中沢)
奇跡です。
この『ブッダの夢』の初読は、発刊された2001年なのですが、『新潮2024年5月号』に掲載された、中沢新一さんと吉本ばななさんの対談を読んだことで、同書を思い出し、本棚の奥から引っ張り出して再読したわけです。
思い出すと、世紀が変わるタイミングの数年間、とにかく吉本隆明さんの本を読みまくっていました。その熱心な姿を見ていた妻が、「あなたは本当に吉本隆明が好きなのね」と言っていたことも思い出しています。
「なぜ好きなのか?」…言語化できない思いを抱えたまま、読み続けていたのですが、『ブッダの夢』の初読の際、この「アホ」を語り合うお二人の対話に、突然吉本隆明さんが登場し、その人物像を見事に活写している「深淵なる言葉」に、感動しました。その時の感覚は鮮烈だったこともあり、しっかり記憶に刻まれています。同書は249ページ(「あとがき」を除く)のボリュームです。その241ページに現れる対話です。100話を超えて書き続けている『ブッダの夢』ですが、やっとたどり着きました(笑)。この見出しは5ページの文量。その最後の7行を引用して、今回を終えようと思います。
(河合)
だから吉本さんは、ものすごく頭がいいのに僕と対談できるんですよ。頭がいいだけの人は、僕と対談する気にはならないでしょう。アホくさくて話にならんと。しかし、あの人はちゃんとまじめにばかになってね。
(中沢)
あの人はばかになれますからね。やはり関東の知性の最高峰は吉本隆明だと思いますね。
(河合)
だから、東京の大学の先生にはなれないですよね。
(中沢)
やはり技術者ですよね。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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