アドラーがフロイトから決別し、独立後のグループを「個人心理学会」と名付けたことで、アドラーの心理学は「個人心理学」と呼ばれるようになります。
「名は体を表す」と思いたいのですが、英語のindividualを一般的な和訳である「個人」としたのが日本語名称の由来で、それだけでアドラーの心理学を「何となく」でも理解できる人は、皆無だと想像します。
英語のIndividualはラテン語のindividuumから来ており、その意味は「分割できない全体的なもの」です。アドラーの心理学は、まさにこのことで、フロイトによる心を3層に分割して捉える「構造論」へのアンチテーゼとしての心理学なのです。
あまり考えることなく行動したことが、良い結果につながったと、後で気づくことがあります。アドラーの視点はここにあり、意識とか無意識とかで説明するのではなく、人の内部には行動を促す動因というものが存在しており、喜怒哀楽、それらが交錯している状態など、そのすべてが自分であり、分割することに意味はない、と考えるのです。これが「全体論」であり、さらにアドラーの未来志向を象徴する「目的論」につながっていくのです。
アドラーはフロイト、ユングと同じく精神科医からスタートしています。ところが第一次世界大戦後は、哲学者、社会心理学者、そして教育者でもある社会啓もう家としての相貌が明らかになってきます。アドラー自身の著作は意外と少なく、多くは関係者が論文を収集したものや、アドラーの講演録なのですね。フロイトには膨大な著述があります。すなわち、きっちりとした「書く人」です。それに対してアドラーは、気さくな「話す人」と表現できるでしょう。
「身体が小さくて目は悪く、幾度も死にかけたほど病弱で、学校でも出来の悪かったという人物が、医者になることで死の恐怖を克服し、猛勉強して勉学の遅れを取り戻し、不運や低階級といった環境が及ぼす影響や社会因に興味を持つようになり、ひいては、政治運動に活発な強い女性に惹かれ結婚しました。アドラーは、社会的、性的平等を重要視し、社会に有益なやり方で人生の居場所を見つけ、人生が投げかける挑戦に協力的に力を合わせて対処することを強調したのです。（『現代に生きるアドラー心理学/一光社』）」、という人間としての生きざまが、アドラーの「未来志向」に骨組みを与えます。
アドラーの語りがコーチングを彷彿とさせるのは、その人生を通じて培われた哲学に見出せそうです。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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