
(河合)
…… それが他の人に対しても意味のあるものとして提示できるという才能がなかったら芸術家になれないですね。やはり音楽や絵などの才能を持っていなかったらだめなわけでしょう。それを作品として表現できるテクニックを持っていなかったら。だから、テーマというか、展開としてはなかなか面白いのが出てくるけど、芸術作品とは異なる。その逆の人もいるわけで、テクニックがあって、作品らしいけども、いちばん底のXがないような、そういう人もいますよね。
今回は、河合隼雄さんと中沢新一さんの対談『ブッダの夢』第3章の最後の見出し、「芸術作品・箱庭療法・宗教」を取り上げます。引用は、中沢さんが「芸術作品とこの箱庭療法との関係については、どうお考えですか」、という質問に対する回答の後半部分です。
コーチングにはさまざまなスキルが存在します。特殊な才能を持っていないとプロコーチにはなれない…ということはありません。資格取得に当たっては、そのスキルを一つひとつ学び修得していくわけです。そのスキルはテクニカルな体系でありメソッドです。
この視点に立って、河合さんの言葉を読み込むと、とても伝わってくるものがありますね。コーチングについても資格取得は入り口です。実践を重ねることで、成功と失敗を経験し、コーチとしての厚みが増していきます。プロコーチとしての「自己基盤」は、そのようなプロセスを経て、確立されるのです。
さて、この「厚みのある自己基盤」は、河合さんが指摘する「X」に置き換えられると受けとめました。「コーチングは思想であり哲学である」ことを実感するには、まさにこの「X」が鍵を握っています。
お二人の対話は、見出しにあるように「宗教」につながっていきます。同書のタイトルは『ブッダの夢』です。第1章と第2章は、「キリスト教」と「私たちが感じる仏教」を、とてもわかりやすく相対化してくれました。さて、ここではどのように展開していくのでしょうか。お二人の「宗教観」は、信者と異なりますので、宗教に対する「思想・哲学的アプローチ」としてとらえることも可能です。
(河合)
こないだ話してて、日本人は、さっきの寺とかそんなんじゃなくて、日常生活の中に宗教があるんだ。僕らも子供のときに、ご飯はちゃんと食べなさい。何も残してはいけません。全部食べなさいと教えられた。これは仏教で言うと「いっさいくう(一切空)」というんですって(爆笑)。
(中沢)
最高。若い人になると箱庭づくりで表現されるものも変わってくるんでしょうね。
駄洒落のマジシャンである河合さんの本領発揮です(笑)。
中沢さんは「若い人」と水を向けます。河合さんの「いちばんやりたいこと」が引き出されました。
(河合)
それはそうです。
僕がいちばんやりたいのは、子供の宗教性ということですね。さっき言われたような意味で考えていたら、ほんとに、十歳ぐらいの子が、僕らの考えているような意味の非常に宗教的なものを置くんです。
河合さんは続けて、「若い人の箱庭は作り出したら、すごいものです。そこへ行くまでが大変ですが、行ったら。次元が違いますね。」と言葉にしています。河合さんの「若い人」を見る目は包容力に溢れている。
河合さんによる「箱庭療法講義」をマンツーマンで受講した中沢さんは「箱庭療法」を深く理解しました。箱庭療法への「想いの深さ」が伝わってくる、次の対話を引用し、7つの見出しで構成された第3章「箱庭療法の宗教性」の解説を終えることにします。
(中沢)
今後もっと箱庭が深くなるかもしれませんね。
(河合)
そう思います。アメリカに行くと、このごろは、セクシャル・アビューズといって、親に性的な虐待をうける子たちがいるでしょう。そんな子でも、深い体験をして変わってきますね。感動します。これから、ほんとに箱庭をもって、世界中、回ろうかしらと思うぐらいです。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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