宮沢賢治の「童話」は「children’s tale」ではなく「fairy-tale」…?

(河合)
僕はもうひとつね、きょう、中沢さんと話したいと思ったのは、僕は宗教と科学の問題について関心があって、科学は、言ってみればわれわれ通常の意識を非常に分割して、切断して、分けていっているんです。普通だったら単に水と言っているのをH2Oにするわけだから、そういうすごいことをやり抜いていくわけでしょう。ところが宗教のほうは、むしろその逆でね、特に仏教は、みんなを融合させていくわけでしょう。そういう体験を推し進めた上で、どのように世界を見るかという。僕は仏教の追求した意識は、近代科学と逆な方向へ行ったと思います。近代科学は分割するほうの先端まで行って、仏教のほうは、存在全部一緒というところまで行くわけでしょう。……

今回は、河合隼雄さんと中沢新一さんの『ブッダの夢』の第2章「宗教と科学は対立しない」の7番目の見出し「宗教と科学」を取り上げます。引用は、そのスタートです。

『ブッダの夢』は、あとがきを含め253ページのボリュームなのですが、この箇所は72ページのところです。お二人の対談をここまで振り返ってみて、気づくのは、文字の分量は中沢さんの方がかなり多く、つまり河合さんはどちらかと言うと聴き役です。
中沢さんは宗教“学者”であり、その視野は広大です。つまり特定の宗教の信者ではなく(ただし『仏教が好き!』であることはしっかりと伝わってきます)、世界の宗教を俯瞰して捉えます。宗教に対して「メタ思考」という表現を用いるのが妥当かどうか、わかりませんが、中沢さんが繰り出す言葉の一つひとつに、「そのこと」が強く感じられます。

他方の河合さんは、米国、そしてスイスに留学しています。河合さんが提起した「母性原理と日本文化」は、西洋文化圏(キリスト教が根底に存在)にどっぷりつかって、そこで実感できた(骨の髄まで…と筆者は受けとめています)経験を昇華させ、思想まで高めた「日本文化論」です。その河合さんが、『ブッダの夢』の72ページから動き出します。「中沢さんと話したいと思ったのは、……」は、2ページの分量の「話し」なんですね。

冒頭の引用にあるように、まず「仏教と近代科学は異なる…」が起点です。この第2章は「宗教と科学は対立しない」ですから、さて、どのような展開になっていくのか、俄然興味が湧いてきますね。河合さんの続く言葉を引用します。

このように対立する二つのものを共に持って賢治は生きてた。賢治は比喩的に言うと、通常の意識から下へ下へ下りて行く。で、上がっていくといわゆる分割するほうですね。下へ行くとみんなずっと一緒になって、人間も動物も物も全部一緒になっていく時に、下りていく時でも、まだ分けてものを見る厳しさを賢治は持っていたんじゃないかと思うんです。だから、下に下りていったらものが言えなくなるのに、彼は言えてるわけです。……

ここで一旦、引用を止めます。臨床心理学者としての河合さんが顔を覗かせていると筆者は感じています。比喩である「下へ下りて行く」感覚を想像してみました。ちょっと怖いですね。賢治はそれでもどんどん下りて行く。「言えなくなるのに、彼は言えてる」。ではどうやって言うのか… 続きです。

しかし、見たものを表現するには童話でしか書けないから童話で書いてるんだけど。そういう点で『銀河鉄道の夜』がその最たるもんで、あの中にもありますよね。やさしいチェロのような声をする男の人が、科学が本当に発達してきたら、第三次稿にはあって、第四次稿ではなくなっている「信仰も化学と同じやうになる」というとこがありますね。だから、賢治にとっては、宗教と科学という対立しているものを、一身の中でひとつにしていったという見方で僕は賢治を見ていたんです。……

河合さんの宮沢賢治研究の深さが伝わってきます。「童話」という日本語がどんどん違和感をもって迫ってきますね。ところで「童話」を英語にすると、直訳は「children’s tale」となります。ただ「fairy-tale」とも訳されます。「妖精の物語」です。賢治の真実は、またロマンチックとも異なりますが、こちらのほうが、まだ賢治の物語にはふさわしいようにも感じられます。

河合さんの長い語りの中ほどまで、今回紹介してみました。次回もこの続きを語ってみようと思います。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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