(中沢)
だから、賢治って、そういう意味で言うと、非常に倫理的で潔白な人だけども、自分は努力してそうなろうとしている。あの人、生命力が溢れている人ですから、性欲にしたって、必死で頑張っていると思うんです。ただ、そうじゃない人たち、そこまで頑張れない人たち、矛盾を抱えて生きている人たちのことを包摂……外から包む感覚があって、やっぱり賢治ってちょっと違います。
(河合)
そこまで包摂する力があるからユーモアが出てくると思います。
(中沢)
ユーモアっていうのは、やっぱり包摂ということがないと。
河合隼雄さんと中沢新一さんの『ブッダの夢』の第2章の最初の見出しである「『ビヂテリアン大祭』の衝撃」について、3回目のコーチング解説です。この見出しの最後あたりで交わされる対話を引用してみました。
「包摂」は素晴らしい語感の日本語ですね。「ダイバーシティ&インクルージョン」とセットで語られることが増えています。過去の解説でコーチングの本質に触れる際に、繰り返し語ってきました。宮沢賢治の童話の中には『注文の多い料理店』のように、ブラックなものもありますが、宮沢作品すべてに通底するのが「ユーモア」です。河合さんは、「ユーモア」の大切さを説き続けてこられた人生ですから、言葉の端々に宮沢賢治への共感ぶりが息づいています。
筆者が読んだ新潮文庫の『新編 銀河鉄道の夜』は、14の作品が収録されています。同書には、詩人で宮沢賢治研究家の天沢退二郎さんが「収録作品について」という13ページの解説文を寄せています。『ビヂテリアン大祭』は、最後である14番目に収められているのですが、この配置はとても意義深いものを感じます。つまり全14篇の掉尾を飾る作品であるというメッセージが(筆者の受けとめです)、天沢さんの10行に込められていることが伝わってくるのですね。その10行を引用します。
「ビジテリアン大祭」……難しい語も構わず使って大人たちが長大な議論をくり広げる、「童話」とよぶにはあまりに破天荒な作品と見えようが、それは通念や「常識」にてらしてのことで、本篇の興趣はまさしく童話のそれであり、賢治童話の精髄である。それはとにかくこれらの論者たちの実に大まじめな、これでもかこれでもかと突き進む主張の展開が、たくまざるユーモアと音楽的なリズム・テンポをともなっており、それが丁々発止とやりあうさまは、まるで愉快なゲームに立ち会っている思いを誘うからだ。そしてその痛快さを通して、賢治が菜食主義の側に立った根拠がよく納得できるしかけになっている。これは私たちを菜食主義へと折伏しようというような押しつけがましいものではないが、ここに盛られた思想が二十世紀の人間文明に警鐘を鳴らし、二十一世紀への示唆を含むものであることは確かだろう。
もし宮沢賢治が、現在に転生したならば、きっと最高のエグゼクティブコーチとして、日本にコーチングを広めてくれる伝道者であるだろうことを、筆者は確信しています。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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