『<心理療法コレクションⅢ>生と死の接点』の「古人の知恵」の冒頭で、河合さんは『グリム童話』が、年老いることに対して、冷たい目を向けていることを語っています。
その次には、「タルムード」の『箴言』のなかの「人生の年表」が、100歳までの人生を俯瞰して「60歳の人が英知をそなえた長老となることができる」と書かれていることに触れ、『グリム童話』との比較を試みています。
今回のキーワード解説は、その後に登場する『論語』の有名な「為政第二の四」で展開される内容を紹介することにします。河合さんは、原文は掲示しておらず日本語訳から記述を始めていますが、原文は以下の通りです。
子曰、
吾十有五而志于學。
三十而立。四十而不惑。
五十而知天命。
六十而耳順。
七十而從心所欲、不踰矩。
(日本語訳)
吾十有五にして学に志す。
三十にして立つ。四十にして惑わず。
五十にして天命を知る。
六十にして耳順う。
七十にして心の欲する所に従いて矩を踰えず。
河合さんは、孔子が自分の体験を述べて、それを理想像とする解釈が一般的であることを触れた後で、桑原武夫さんのユニークな解釈を紹介します。
「人間の成長には学問修養が大いに作用するが、同時に人間が生物であることもまた無視できない」ので、「天命を知る」というのも、五十の衰えを感じて自分はこうしかならないと認め、運命を甘受して生きようとする。「耳順」も「あくまで突進しようとするひたむきな精神の喪失ともいえる」。そして、「心の欲する所に従いて矩を踰えず」というのは、「自由自在の至上境といえるが、同時に節度を失うような思想ないし行動が生理的にもうできなくなったということにもなろう」と言うのである。(25ページ)
河合さんの「昔話」の解説は多面的です。「『論語』が語る意味は〇〇〇」であると、その捉え方が収斂し定着してしまっていても、そこに疑問を投げかけ「権威付けられた考え」とは異なる説も紹介しつつ、「新たな河合さんの考え」が、そこに生み出されていきます。
社会は変動します。でも多くの人は「変わらないこと」を望み、過去の識者が提供してくれた「考え」をいただいてしまい、保守的な「殻」に閉じこもってしまいます。
思想家とは、そのような「殻を打ち破ってくれる人」のことを言うのかもしれません。
『論語』解釈の新たな地平を提供してくれた大思想家が渋沢栄一です。河合さんも、世界中の「昔話」に視点を当て新解釈に挑み、多様な視点、そしてリフレーミングできる柔軟な思考を世に提示してくれました。
「思想家」とは? を思索すると、その延長に渋沢栄一、そして河合隼雄さんの姿が浮かび上がってくるのを感じています。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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