(中沢)
ヨーロッパの場合は、神という普遍から見る。神が私たちを見ています。だから自分がやっていることを神が見ている視点と、自分が世界を見ている視点との調停点を探るような生き方をしていると正しい生き方ができるというのが、カソリックやプロテスタンの基本的な考えだと思うんです。ここでは、普遍というものは外に立てておいて、足場のはっきりしない自我を普遍との関係の中で、うまい調停点としてつくることが、探られているわけです。
河合隼雄さんと中沢新一さんの対談を収めた『ブッダの夢』の第1章「仏教と癒し」の7番目の見出しは「死の世界から現在を見る」です。中沢さんはその中で、「キリスト教徒の信仰の姿」を語ります。日本人はクリスチャンである人が圧倒的に少ないので(『宗教年鑑(文化庁編2019年版)』によると全宗教人口に占める割合は1.1%)、身近なところでキリスト教を感じることは、少ないかもしれません。
キリスト教徒になる重要な儀式に、「洗礼」があります。自身がキリスト教の信仰を受け入れたことを公に宣言することであり、「絶対的な神」の存在を信じ、その「神」と一対一の契約を結ぶことです。キリスト教徒はその「普遍的な神」に見られている(包まれている)感覚を抱きます。冒頭の引用の続きです。
倫理はそこから発生していた。でも東洋宗教の場合は、神という普遍がない。その代わり、それは心であったり死者であったり、そういう普遍を据えて、死者の側から人間を見るということをしていたんじゃないですか。
東洋宗教どころか、それこそ旧石器時代から、人間の倫理というのは、死霊の目というのをいつも媒介にしながらつくってきたものなんだろうと思うんですね。
見出しのタイトルである「死の世界から現在を見る」につながりました。河合さんは次の言葉で中沢さんの見解に応えます。
(河合)
今の考えは大賛成です。だから、西洋の近代自我というのは、キリスト教抜きでは考えられないと僕は思っているんです。日本人が自我を論じるときに、全然キリスト教に触れないでしょう。キリスト教なしで自我の確立なんて、そんなの考えられない。
お二人の語り合いは熱を帯びます。中沢さんも河合さんの見解に全面同意します。
(中沢)
考えられない。本当はデカルトもわからないですよ。
ここでデカルトが登場します。
デカルトの「我思う、ゆえに我あり」は有名な言葉ですが、生成AI(Copilot)に、その意味を質問すると、以下の回答が返ってきました。
デカルトの宗教的な信仰と彼の哲学的な探求は複雑な関係にあります。デカルトはカトリック信者であり、神の存在を信じていましたが、同時にその存在を合理的かつ哲学的に証明しようとしました。
彼の哲学の重要な部分は、「方法的懐疑」と呼ばれるアプローチに基づいています。これは、すべてのものを疑い、疑うことができない唯一の確実なものを見つけるための方法です。この探求の結果として、デカルトは「我思う、ゆえに我あり(Cogito, ergo sum)」という結論に至りました。その後、彼はさらに神の存在を証明するために議論を展開しました。
筆者はここで、デカルトとアビダルマの思想に「異質の調和」を感じています。
今回のコーチング解説は、“河合さん流のウイット”を引用して終えることにしましょう。以前取り上げた「ヌミノース体験」にも目を通していただき、キリスト教徒との対話(コーチング)について、さまざま想像力を発揮されることを願っています。
(河合)
そうでしょう。日本人は、自我を確立すると言ったって、どういうふうに、なんで確立できるのかね。やっぱりちゃんと神との関係があるから、自分ひとりで完全に立てるわけです。日本人はだいたい世間様に支えられているんだから、うっかり確立したら大変なことになるんでね(笑)。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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