
(河合)
…… チベットでは、夢は相当大事にするんですか。
(中沢)
いろいろなレベルがあるんですよ。普通の民間伝承みたいな夢理論もあります。夢のなかで花が出てきたら近いうちに奥さんが妊娠するとか。その手の話というのも、とても好きな人たちですね。夢解釈とか、ルンテンという夢告に関心がある。未来のことを予知するものとしての夢です。夢の意味を未来に投影して読むという夢解釈が一方にあるんですが、それは程度の低い夢と言われています。……
前回まで、河合隼雄さんと中沢新一さんの対談、『ブッダの夢』第5章「善悪を超える倫理」
の内容を引用しつつ、リベラルアーツとしてのコーチングを語ってきました。今回から、第6章「汎神論風夢理論のこね方」に移り、お二人の「夢」語りを紹介しようと思います。
同書は、6回に及ぶ対談を章ごとに編んで掲載されています。ただ、この第6章は最終章にもかかわらず、第1章(1995年12月16日)~第5章(1997年1月16日)が、時系列なのに対し、1991年6月1日に実施された対談が収録されているのですね。その経緯については、河合さんが「あとがき」で、心のこもった「謝辞」としてコメントされています。引用します。
…… この対談のほとんどは雑誌『小説トリッパー』に掲載されたものであるが、「箱庭療法の宗教性」は、この書物のために対談したものであり、「汎用論風夢理論のこね方」は、雑誌『IMAGO』に掲載されたものである。これは1991年に、中沢さんにはじめて会ったときのもので、最初から意気投合して、お互いに喋りまくっている感じが、なつかしい。これも脱線につぐ脱線のような本線を走り続けているような代物である。……
河合さんには膨大な数の「対談本」が存在します。つまり、膨大な数の人物と「対話」を重ねているということです。筆者は、その多くを読んでいるのですが、いずれの本も「対談のマジシャン=河合さん」を「堪能」することができます。ただし……
臨床心理学者の巨星である河合さんですから、どのような相手であっても(子供でも、お年を召した人でも、そして頑迷な価値観に支配されてしまっている偏屈な人でも…)、「スッ」っと、相手と同じ地平を共有してしまうプロなので、筆者がそのように「堪能」できるのも、「まあ…当然だよな」と、腹落ちさせています。ただし……(繰り返します)
中沢新一さん(『ブッダの夢』)、鷲田清一さん(『臨床とことば』)、村上春樹さん(『村上春樹、河合隼雄に会いに行く』)との対談は別格なのですね。プロフェッショナルな河合さんですが、どこか「素」が匂い立っているのです。それは、「学び続ける人=河合隼雄さん」の姿です。
今回のコーチング解説は、上記の引用に続く「あとがき」最後のコメントを紹介して、終えることにします。
21世紀においては、仏教というのが世界的に相当に注目されることになるのではないか、という予感をもっている。私はまだまだ無学で恥ずかしいが、これから少しずつ学んでいきたいと思っている。この対談が読者に対して仏教に対する関心を誘発するきっかけにでもなってくれれば、ほんとうに有難いことと思っている。
『小説トリッパー』誌の対談のとき、および、本書の企画、編集については、朝日新聞社書籍編集部の八坂美紀子さんに格別のお世話になった。ここに厚く御礼申し上げる。
河合隼雄
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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