『＜心理療法コレクションⅡ＞カウンセリングの実際』の最終第8章のタイトルは「カウンセラーの仕事」です。人に関わる専門職の意義を総括する内容であり、河合隼雄さんの言葉は、コーチングにそのままつながっています。改めて「コーチングは素晴らしい！」と、実感至極です。
今まで述べてきたような関係になってきますと、本当に二人で一つの仕事をしているという感じがしてきます。これは、私がよく言うのですが、本当にそのようになってきた場合というのは、二人で一匹の魚をつかまえているような気がします。魚が見えたら、「オイ、見えたぞ」と言います。「行ったぞ」と言います。また、「深くしろ」「浅くしろ」と言います。そのときに、どっちが言ったかということは問題外だと思います。そのときに、最後に魚がとれて、「おれの網に入ったからおれの魚だ」とか、「いや、先に見えたのはおれだから、おれの魚だ」などとは言いません。二人でとったということになる。そして、そのときに、どちらが先に言わなければならないというルールはないわけです。（285ページ）
実際にコーチングのクライアントと、魚をつかまえようとしている情景が浮かんできました。私とそのクライアントは真剣に魚を追います。二人の呼吸をしっかり合わせないと、魚は逃げてしまいます。声をかけ、声をかけられ、ときに波長が合わなくとも「必ずつかまえてみせる！」という目的に向かって、行動を修正し、悪戦苦闘を経て、そして最終的に魚をゲットします。
クライアントは汗まみれです。その姿を見て、自分もそうであることに気づきます。私とクライアントは、お互いに破顔一笑しています。
多くのクライアントとの毎回のセッションは、まさに真剣勝負です。同じクライアントでも、前回と今日の雰囲気が、まったく違っていることもあるでしょう。そう感じたとき、その印象を、そのままクライアントに告げることもあります。そうではなく、気づいていても、そのことをまったく言葉にすることなくセッションを開始することもあります。
コーチングセッションは、すべての機会が、すべて新鮮であり、だからこそ毎回気づきが訪れるのです。
河合さんはカウンセリングを、よく音楽の指揮者に喩えます。
ウィーンフィルが来たとき思ったのですが、ウインナワルツを演奏するとき、指揮者はバイオリンを持っていて、大切なところで指揮をし、あるところへくると一緒にバイオリンをひいて、まさに共にうたっているという感じです。私は、カウンセリングでもそうだと思います。カウンセラーが必死になってやらねばならないときと、一緒にバイオリンをひいて共にうたいあげるという楽しみを味わうときが絶対にあると思います。どうしても、カウンセリングというと深刻でなければならぬと思っている人があります。楽しいときには、二人で楽しめばよいのです。そういう仲でこそ、暗いところも出てくるし、楽しいことも出てくると思います。（288ページ）
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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