
……反ユダヤ主義文献の全部に共通するのは「ユダヤ人がその社会で支配的な擬制(律法、倫理、貨幣、国家、等)を媒介にして、人間本来のみずみずしい生命の流露をせき止めている」という告発である。つまりユダヤ人は「つねに自分たちより上位にあり、自分たちに不当な抑圧的暴力を揮っている者」として観念されている。……
『現代思想を読む事典(講談社現代新書)』の「反ユダヤ主義」から引用しています。初版は1988年10月です(800ページの同書は新書版としてはギネス級の厚みです)。筆者の手元にあるのは、2001年3月に発行された20刷です。50人の執筆陣が、363の事項と197人の哲学者、思想家、科学者…について分担して執筆しています。この「反ユダヤ主義」は、内田樹さんの担当です。
内田樹さんを最初に体験(読書)したのは2009年に出版された『日本辺境論』でした。リフレーミングの視点に感銘を受け、ファンになった筆者は、『私家版・ユダヤ文化論』など、内田さんの著作を多く手に取っています。内田さんの本を読むと、必ずと言っていいほど、エマニュエル・レヴィナスが語られます。
ここで、Wikipediaにある「他者論」について、その最後の見出し「成立経緯」を引用します。
成立経緯
ユダヤ人だったレヴィナスは、第二次世界大戦中ナチス・ドイツのユダヤ人虐殺により、家族・親族・友人のほとんど全員を失っている。人間未満の扱いを受けたレヴィナスは、人間がどれほど無残に死んでも、「世界」が何事もなかったかのように続いていく事実を恐怖するようになった。レヴィナスが恐れたのは、明日自分が殺されるかもしれない事実、および、死と無関係に存在し続ける「世の中」だった。「世界」は、目的も意図もまったく理解不能なまま存在している恐ろしいものであり、そこにレヴィナスは絶対的な「他者」を見出した。
内田さんは、レヴィナスを通してユダヤ民族の研究を深めていったのですね。『現代思想を読む事典』には、「反ユダヤ主義」と対になる「ユダヤ主義」という事項でも、内田さんは筆を執っています。両方を読むと、内田さんのバランス感覚が伝わってきます。
冒頭の引用に目を転じてください。「反ユダヤ主義」を語る文献は世界中に膨大に存在します。だから内田さんは、「反ユダヤ主義文献の全部に共通するのは…」と、慎重に筆を進めます。同書は「事典」ですから。
今回は、内田樹さんの紹介となりました。
前回の解説で、『ブッダの夢』の最終章、「汎神論風夢理論のこね方」の6番目の見出し「ユダヤ的知性は霊性を羨望する」を取り上げました。中沢さんが「…… そういうユダヤ原理というものがこの地球を席巻していくのであって、ロシア革命の時に起こったこともそういうことなんだというわけです」、と語っていることを受けての「流れ」です。
Wikipediaの「エマニュエル・レヴィナス」については、最後に記述されている「他者論」のみではなく、冒頭の紹介文も引用します。長い記述は、ときに最初と最後で、意味が変わっていることもありますから(レヴィナスの執筆者はそうではありませんが)。
エマニュエル・レヴィナスは、フランスの哲学者。第二次世界大戦後のヨーロッパを代表する哲学者であり、現代哲学における「他者論」の代表的人物だとされている。エトムント・フッサールやマルティン・ハイデッガーの現象学に関する研究を出発点とし、ユダヤ思想を背景にした独自の倫理学、更にはタルムードの研究などでも知られる。
ハイデッガーも登場します。「ユダヤ的知性は霊性を羨望する」の最後で、中沢さんはハイデッガ―(ここではハイデガーと呼称)を熱く語っています。引用して、今回の解説を終えようと思います。
ハイデガーでいちばん重要なのは、人間は住処に帰属する生きものであるという問題ですよね。住処とは何かというと、ハイデガーは、それを森とか故郷の問題としてとらえたわけです。だとすると、帰属するものを引き離して流浪する民に変え…これは自由ということかもしれませんが…、その流浪するものを貨幣や知識に切り替えていくという原理に対して、ハイデガーは抵抗していたのではないか。僕はユングに対しても、そういうものをずいぶん感じるんです。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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