「精神(心)の考古学」は、吉本隆明さんによる20年後の「贈る言葉」

それは、未開の宗教、医術、知識、経験などを継承し、それに通暁しているか、それらの技術を保存している固有社会の導師に弟子入りしてその技法を体得し、その核心を現代的に解明することだ。たぶん中沢新一の『チベットのモーツァルト』は、この「精神(心)の考古学」の技法を使ってチベットの原始密教の精神過程と技法に参入し、その世界を解明しようとした最初の試みではないかと思った。

前回の解説で、『チベットのモーツァルト』が2003年4月に、講談社学術文庫に収録された版の「学術文庫まえがき」の書き出し7行を紹介しました。『チベットのモーツァルト』の単行本(初版)は、1983年11月ですから、著者である中沢新一さんの20年後の「想い」が、この「まえがき」に綴られています。
引用は、その7行に続く「言葉」です。吉本隆明さんによる中沢さんへの「贈る言葉」となっています。

前回の解説で、吉本隆明さん(1924年11月25日~ 2012年3月16日)は中沢さんにとっての「思想の師」であると、書いています。戦後日本の思想界にとって、吉本さんは「圧倒的な存在」でした。その吉本さんが「何を語るか」「何を書くか」「誰をどう批評しどう評価しているか」、というのは、言論人にとって「ものすごく大きなコト」だったのですね。

吉本さんの言葉は「忖度フリー」です。その時どきに感じたことを、率直に、虚心に語り、綴ります。吉本さんの本質は「詩人」であり、その言葉一つひとつに、魂が宿ります。美しい言葉です。でも、時に「残酷」な貌も顕れます。
Wikipedia(吉本隆明)の中に、『チベットのモーツァルト』が1983年出版され、日本の思想界に新風を巻き起こした頃に、同書を評した言葉が紹介されています。

なお、1984年の段階では、中沢新一の『チベットのモーツァルト』に関連して、吉本は、「意識をドラッグによらずに死や瀕死の状態に持ってゆくまでの体術修練や、その過程の各段階で起る擬幻覚現象や意識の離脱体験自体には、精神健康法以外の何の意味もない」「日本浄土教は、仏教浄土門の思想的な集大成として、とっくに親鸞によってそんなの(「チベット密教観相浄土のいかがわしい体術」)完全に否定」されてしまった。
「ただ、中沢の手柄は、チベット密教の体術修練の過程で起る意識状態と意識幻覚の過程をかなり厳密に記述したというところにある。」「極楽論」は感心して読んで得るところがおおかった。俺もいつか力を蓄えられたらおなじことを、やってみたい」と述べている。

当時、すでに思想界の巨人となっていた吉本さんのこの言葉を、中沢さんがどう受け止めたのか…は、見つけることができなかったのですが、若手のホープとして、言論界から高い評価で迎えられたタイミングです。おそらく「こんちくしょう!」と思ったでしょう。
もっとも、「ただ、中沢の手柄は…」から始まるコメントは、吉本さんの「進化し続ける思想家の深み」が伝わってきます。当時60歳の吉本さんが34歳の中沢さんに、“ちょっと”嫉妬している(笑)。

「すごい人は変化し続ける…」。筆者がコーチングを通じて学んだ「一つの思想」です。最後に、生成AI(Copilot)の見解も引用しておきましょう。次回は、『チベットのモーツァルト』(2003年・講談社学術文庫版)の「解説」を読み込み、吉本隆明さんの思想に触れてみようと思います。

吉本隆明の『チベットのモーツァルト』に対する評価は、時代とともに変化したようですね。1984年の段階では、彼はチベット密教の体術修練や意識の変容について、精神健康法以上の意味はないとし、日本浄土教の思想的な完成度の高さを強調していました。しかし、中沢新一の記述の厳密さには一定の評価を与えていたようです。
一方で、20年後の糸井重里との対談では、吉本はこの本を「精神(心)の考古学」として再評価し、西洋中心的な文明観を超えた知的営みとして捉え直したようです。言葉が生まれる前の「曙光の予感」を体感する試みとして、この本の価値を認めるようになったのですね。
この変化は、吉本自身の思想の深化や、時代の流れによる視点の変化が影響しているのかもしれません。思想家の評価は、時間とともに変わることがあるのが興味深いですね。あなたはこの変化をどう捉えますか?


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