『生きることは、自分の物語をつくること』の7番目の見出しは、「偶然」に気づくこと、です。
最初の1ページでは、河合さんが、カウンセリングの臨床で、患者さんが治っていく過程で、さまざまな「偶然が起こる」ことを語ります。それは「ものすごくうまいこと」であり、「あまりにも都合がええことが起こりすぎる」ということなのですが…
(小川)
その偶然というのは、患者さんが起こしているんですか。
(河合)
そういうことを起こしてくれる「場」というものがあると思いますね。それから、都合のいい偶然が起こりそうな時に、そんなこと絶対に起こらんと先に否定している人には起こらない。道に物なんか落ちていないと思っている人は、前ばっかり見て歩いているから、いい物がいっぱい落ちとっても拾えないわけでしょ。ところが、落ちているかもわからんと思って歩いている人は、見つけるわけですね。
(小川)
既にそこにあることに「気づく」ということですね。
(河合)
そうです。だから僕は言いたいの。そんなんは僕らの身の回りに実はいっぱいあるんだと。ただ気づかないだけなんじゃないかと。
この箇所を読んだ時、筆者はすこぶる「納得」しました。そのように、「何か」に気づくときが確かにある。ただ、気づかないときも、もちろんある。その違いは「何か?」と考えてみると、その「何か」を真剣に求めている時(自覚しているか否かに関わらず)、その「不思議なことが起こる」ということを、よく体験するからです。
ユングは、現代の科学では説明できない、「あまりにも不可思議な偶然」をシンクロニシティとして捉えました。
ここで河合さんと小川さんは、シンクロニシティを語っているわけではありません。ただ、小説家の小川さんと臨床心理学者の河合さんが、実際に体験されている「不思議」を素直に受けとめると、豊かな「物語」の世界が広がっていくのがイメージされるようです。
人は、今この時の現実がネガティブであると、未来もそれが続いてしまうような「錯覚」に囚われがちです。未来は何が起こるか分からない。コーチングは未来志向です。クライアントが決めた未来のゴールを、コーチはクライアントと共有し伴走します。そしてその未来が「実現する」ことを信じ、日々考え行動していると…「さまざまな偶然が起こり、ゴールがどんどん近づいてくるのが実感される」…これこそがコーチングの素晴らしさですね。
(小川)
小説を書いている時、もうまったく何も書けない真っ白な状態というのが続くことがあります。「こんなんじゃ私もう一行も書けない」という状態の時に、それでも何か書こうと思って、一生懸命考える。すると、思いもしないところから、それも遠いところから突然、カミオカンデにニュートリノが飛び込んでくるみたいに、偶然何かが飛び込んできて、その途端にパーッと真っ白な所に色がつくみたいに、動き出す時があるんです。
(河合)
結晶作用みたいに、パーンと出来てしまう時ってあるでしょう。
(小川)
自分が今まで悩んでいたことは何だったんだろうと思いますよ。ですから、小説を書き終えた時に、自分の力で書いたっていう意識が、実はあんまり残らないんです。
(河合)
そこは似ていますね。僕も、僕が治したという感じはほとんどないんですね。それでもこんだけのことを出来る人間は、あんまりいないとは思っています(笑)。そういう自信はあるけれど、でも僕が治したのではないという感じは嘘つけない。
(小川)
その治る場に必要な、空気を、水を、先生が患者さんに供給されたということですよね。
(河合)
それがわからないうちは、どうしても治そうと思って張り切るから疲れますね。その人のためを思って何かしようとするけれど、結果は良くないことが多い。でも、そういう時も越してこないと駄目でしょうね。初めから今みたいになれといっても無理で、やっぱり一生懸命治そうと思ったり、ウロチョロしたりする時が必要なんだと思います。
若い頃、不登校の子に自転車で会いに行った時に、こんなことせんでもええ人は何もせんでええんやけど、今の僕の器量やったら仕方ない、そう思ったのを覚えています。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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