ソクラテスは、実は最初の精神医学者だった!?

(鷲田)
先生、カウンセリングのときに、クライアントが語ろうとされている物語というもの、出かけている物語に対して、まず最初にどういうふうに関わるんですか。
(河合)
とにかく待ってるというか、やっぱり修練というよりしょうがないかなあ。僕が会うと話をする人多いですからね。
(鷲田)
先ほどのよい物語、悪い物語とで言えば、悪い物語でも、それで腑に落ちるんですか。

こうして文字にすると、鷲田さんは、浮かんだ疑問に関して「忖度なく」「ストレートに」感じたことを、質問されていることが伝わってきます。
私たちの日頃の会話を思い起こすと、少なくとも会社内で、上司に対しては「このような言い方」はできないなあ…と、多くの人が感じるのではないでしょうか(笑)
言葉遣いはともかく、お二人は対等な間柄であることが伝わってきます。

前回から、コーチング視点で「五感」について、分析を重ねています。もっとも、河合さん、鷲田さんの口からは、「五感」という言葉は出てきていませんから、筆者の「読み替え」です。河合さんは、カウンセリングのさまざまな現場(臨床)をくぐり抜けてきたことで、クライアントの発する「言葉」を、その通り受けとめることも必要だが、その「裏」、あるいは「行間」をくみ取る能力を磨くことが、何より大切である、と言います。すなわち「五感」の体得に向かって、精進を重ねてきたということです。
今回の「コーチング解説は、『臨床とことば』の第2章「聴くことの重さ」の5番目の見出しである「ことばをほぐす」を読み込んでみることにします。

(鷲田)
哲学というのはどうしてもことばが根底の学問ですので、臨床に関わるといっても、どうしてもことばを通して関わる。しかし臨床に立つということは、からだで問題を感じることですね。その場所に立つことで、そこに身を浸すことではじめて見えてくることがある。そこで心理学とか臨床心理学というものと、哲学のことばというのは同じなのか違うのか、すごく悩むんですよね。
20世紀は精神分析家とか臨床心理学者が哲学者の代わりをするんだ、と言った人もいるし、逆にソクラテスが最初の精神医学者だったと言う人もいるんですが、ことばの点から言ったとき、哲学は、そういう臨床で何をしたらいいんでしょうか。

「ソクラテス=哲学者」という理解は、絶対的定義だと私たちは受けとめていますから、「精神医学者」と言われると、「えっ?」という驚きを感じるでしょう。学問の入り口は、何事も定義づけることであり、それがオーソライズされてしまうと、いつの間にか「自明」とされ、その枠組みに閉じ込められてしまいます。平たく説明すると「物語化」されてしまう、ということです。「物語」には、「善きもの」と「悪しきもの」の両方が混在しています。

哲学者の鷲田さんが、ある人の言葉として紹介する「ソクラテス=精神医学者」という視点の方に、筆者は「腑に落ちて」しまいました(笑)
さて河合さんは、悩みを開示する鷲田さんに、どのような言葉をかけるのでしょうか?

(河合)
それはね、実際にやると、そのときうまくいったか、そのときどうだったかに、ものすごくとらわれてくるからね。もういっぺん、ことばとして、反省することが必要なんです。どうしてもことばとして普遍性を狙うという点を、怠るんですね。
(鷲田)
反対のところに行ってしまう?
(河合)
そう、しんどいから。しかし、うっかり、ことばにするほうを好きになると、そればかりで臨床ができなくなるんですね。でも僕は、僕らがやってることは、絶対哲学的に反省しなければならないという考え方なんです。それは、僕がやらなくても、たとえば鷲田さんがやってくれたらいいと思う。一緒にそういうのはやったらいいんです。それはやっぱり自分の得手というか、領域をちゃんとしてやっていかないと、どっちつかずになってしまう。……

CBLコーチング情報局は、「会話」と「対話」は違う、と言ってきました。ただし、想いを交換し合う「対話」も、誰と誰が組み合わさるのかによって、その「内容」は格段に変わってきます。河合さんと鷲田さんの「対話」に出逢えた筆者は、幸せを実感しています。それにしても「凄い」!
河合さんの秘められていた「凄み」は、鷲田さんの「質問」によって、見事に引き出されました。上記に続く河合さんの「言葉」を引用し、今回の「コーチング解説」を終えることにします。

私の言った一言が、哲学的にはどういう意味のことかとか考えすぎるようになると、今度はクライアントに会えなくなりますよ。一発勝負ですから。野球評論家が野球したら大したことないのと変わらない。と言って、今度は野球の大選手が皆名コーチになれるか言うたら、なれないでしょう。名選手で、監督下手な人たくさんいます。だからお互いに、自分は何をしているかを、よく知ることだと思います。そしてお互いに協調することだと思います。できないことはしないということで、僕は実際にやるほうのタイプだと思いますね。あまり哲学的に考えるほうじゃない。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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