何かに沈潜することなしにはメタ認知に辿りつくことはできない

(中沢)
そうしたときに、自分はまず何をおいても仏教だと思ったのです。では、沈潜先はどこからにするか、といって辿りついたのがチベット仏教のお坊さんの世界でした。ですから、僕は仏教徒ではありますけれども、仏教学者ではありません。なる気もありません。そうではなくて、仏教へ沈潜することによって、諸宗教の先にあるもの、井筒先生の言われるメタ宗教に辿りついていくために、最短のルートとして仏教から入っていったということなんですね。
(河合)
なるほど、なるほど。

前回より、河合隼雄さんと中沢新一さんの対談『仏教が好き!』を取り上げ、コーチングを語ることをスタートしています。
引用は、井筒俊彦さんに啓発を受けた中沢さんの続く言葉です。

日本人に「哲学者として誰を思い浮かべますか?」と質問した場合、ソクラテスやプラトン、そしてカント、ヘーゲルといった外国人の誰かを挙げるのが、普通だと想像します。つまり、いきなりは日本人の名前は返ってこない。それはやむを得ないと思います。

そもそも「哲学」という言葉は、明治時代に「philosophy」の訳語として新たに作られた表現であり、日常になじみのない「よそ行きのイメージ」が付いて回っているように感じます(高踏的な二字熟語に訳されてしまいましたから)。もちろんこの日本でも「哲学」を学び、「哲学者」として高い評価を得て、活動されている人たちは存在します(過去も現在も)。少し回りくどいコメントとなってしまいましたが、中沢さんが深く敬愛する井筒俊彦さん(1914年 – 1993年)こそ、近現代の日本に顕れた「純度の最も高い真の哲学者」なのではないか、と筆者は感じるのですね。

多くの本を書かれていますが、『意識と本質』が井筒さんを感じた最初です。『コーラン』は井筒さんが日本語に翻訳されています。その『コーラン』も買って読んでみました。世界のイスラム教信者は18億人と推定されるようですが、この18億人が、この『コーラン』を読み込み、共有していることを想像すると、世の中の景色が、それまでとは違って見えるように感じます。

中沢さんのコメントから、井筒さんにシフトしてしまいましたが、哲学者である井筒さんが、まさにコーチングを語ってくれているように感じているので、『意識と本質』を、ここから取り上げてみようと思います。
『意識と本質』は、4つのカテゴリーで構成されます。それぞれ独立した内容です。

意識と本質~東洋哲学の共時的構造化のために
本質直観~イスラーム哲学断章
禅における言語的意味の問題
対話と非対話~禅問答についての一考察

「コーチングを語ってくれている…」というのは、最後の「対話と非対話」に、濃厚に表現されています。冒頭で、「本編は1977年10月、テヘランで主催した国際シンポジウムにおいて、『BEYOND DIALOGUE~A ZEN Point of View』と題した英語でおこなった講演の翻訳である…」と、書かれています。

1977年は、微妙な年です。というのも、翌1978年から79年にかけて、イランでホメイニ師を指導者とするイスラム革命が起こったからです。パーレビ(パフラヴィー)体制が倒され、イスラム教に基づくイラン・イスラム共和国が誕生したのです。現在の最高指導者ハメネイ氏は、ホメイニ師が1989年に亡くなった、その後を継いだ人物です。35年以上も権力をもちつづけているわけで、これはこれでスゴイことです。
現在のイスラエルとイランの本格的戦闘は、どのような流れとなっていくのか、予断を許しません。ただ、世界は確実に変わる、変わらざるを得ない……

「対話」であるコーチング解説に戻ります。井筒さんによる1977年講演のスタート(ご本人による日本語訳)を引用して、今回を終えることにします。

古来、禅では「問答」と称する一種独特の言語使用の形式が確立されていて、それが禅の発達史上、非常に重要な役割を果たしてきております。禅問答は疑いもなく対話であります。今度のこのシンポジウムの主題である対話の可能性の問題に関聯して、私は以下この対話としての「問答」の本質構造をいささか論じてみたいと思います。
しかし、「問答」という形で禅がそもそも対話なるものをどう考えているか、その特異性を明るみに出すために、先ず現代の言語理論が、すなわち言語によるコミュニケーションの可能性あるいは不可能性について一体どんなことを考えているかということを一応反省しておく必要があると考えます。


コーチング情報局を運営する株式会社コーチビジネス研究所では、企業を対象としたコーチング研修、ビジネスパーソンを対象としたビジネスコーチング、個人の方を対象としたライフコーチングを提供しております。その他、コーチングを学びたい方のためのコーチングスクールの運営、経営者やビジネスリーダー向けにセミナーを開催しています。興味や関心がございましたら、お気軽にご相談・お問い合わせください。

This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
Coach Business Laboratory, Inc., which operates the Coaching Information Bureau, provides coaching training for companies, business coaching for business people, and life coaching for individuals. In addition, we operate a coaching school for those who want to learn coaching and hold seminars for executives and business leaders. If you are interested or have any questions, please feel free to contact us for further information and consultation.

認定コーチ紹介サービス
ホームページ制作サービス
Certified Coach Referral Service
Web Site Creation Service