「馬が合う」は、何か無意識的なものを共有している

河合隼雄さんの『大人の友情』の3話目は「類は友を呼ぶ」です。前回のタイトルは「馬が合う、虫が好かない」でした。ただ、エッセイの内容は、「虫」から始まり「虫」で終わっており、「馬」は最初だけの登場でした。この3話目は、それを補おうと河合さんは思ったのか、冒頭で、フロイト理論を登場させます。

虫は虫として、それでは「馬」の方はどうなのだろう。馬については、フロイトが人間の自我と無意識の関係を、旗手と馬との関係になぞらえたことをご存じの方は多いことだろう。「馬が合う」は、そうなると、何らかの無意識なものを共有している、ということになろう。

河合さんは、日本で一般に用いられる友人との関係を「馬が合う」と喩えることから、「友人」関係とは、直接的な利害関係や意識的打算とは重ならないことを意味している、と当該エッセイの前半で述べます。自分に利益を与えてくれる者とのつきあいに「馬が合う」という表現を用いないことが、その根拠です。

そこから河合さんは、大学院生としてアメリカに留学した当時(学生寮に入っていた)の体験を振り返ります。「アメリカの学生がすべてこうだということはないと思うが…」と、言いつつ、明らかに利害関係が絡んでいる対象を、当たり前のように「友人」(friend)という単語を使っていることに違和感を覚えたのです。

友人であることの基礎に、利害関係がからんでいたら駄目、というのも言いすぎだし、広く考えると、何らかの利得ということはある、ということにもなろうが、これほど明確に言われると、「友人」と言っていいのかな、と思う。それに比べると、わけがわからないが「馬が合う」の方が、まだましだ、という感じがする。

ここから場面は、日本の大学生のケースに転換します。河合さんのエッセイは、明瞭に「起承転結」で構成されますので、「さあ、どのように話が進んでいくのか…」という、ワクワク感を毎回感じることができます。
この「転」を要約すると… 新人のある学生が、なんとなく「馬が合う」相手が見つかり、それまで淋しい思いをしていたのが、相手がいるので、大学に行っても何となく心強く感じるようになります。ところが、自分があるクラブに入ろうとすると、「そんなのやめておけ、クラブに入ってもろくなことはない」と、強い口調で彼は言います。そこから自問自答が始まり、「馬が合う」などと言っていたのは、「ともかくお互いに一人で淋しいから共にいただけではないか」と気づくのです。悩んだ末、思い切ってこのことを「馬が合う彼」に話します。「起承転結」の「結」です。

「お前と一緒にいると、何となく足を引っぱられていて自分の思い通りのことができない」と言うと、相手はびっくりして、「俺も同じことを思っていた」と言う。クラブの件を持ち出すと、「自分がやりたいからといって、俺も誘うに決まっていると思って反対した」と言う。
確かに「淋しさをまぎらわす」ことのみの共有では駄目だ、などと二人で話し合っているうちに、今度は以前よりも親しみが湧いてきた。もう少しそれぞれ好きなことをやりながら、友人でいようか、ということになった。

一件落着ですね。関係のあり方はさまざまです。ただ「友人」だとの思いを感じて付き合い始めたにもかかわらず、ほんのちょっとしたコトで傷つき、その思いを自分だけで抱え、相手に告げることが出来なかった… そうして「別れていく関係」は、実に多そうです。
ほんの小さな勇気を発揮して、相手に自分が何を感じているのかを告げてみる。すると「別れ」どころか、本当の「深い友人関係」となっていく… この事例が物語っています。

上記の事例は「友人」についてですが、会社の仲間や上司と、良好な関係を見出し、つくっていきたい、というクライアントの思いとして、コーチングのテーマに挙がってくる典型的な内容です。
経験を積んだプロのコーチであれば、クライアントが「ほんの小さな勇気」を発揮してみようという、「気づき」につながるセッションが、はっきりとイメージされることでしょう。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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