河合隼雄さんは京都大学卒業後、3年間ほど高校の数学教師を経て心理療法家の道に進んだこともあり、折に触れ「この経験が教育現場のことを考える上で役立っていると」と語ります。今回の解説は『<心理療法コレクションⅣ>心理療法序説』にある「教育現場の問題」を取り上げることにします。
冒頭、「心理療法の考えがわが国の教育現場に取り入れられていったのは、ロジャーズが初期に主張した非指示的カウンセリングの主張によるところが大きい」と、語りが始まります。
前節にも記したが、「教え」たり「指導」してりするのが好きな人が多い教師に対して、「非指示」の有効性を説く考えがもたらされたので、実に衝撃的だった。それに従って、それなりの意味を持ったが、やはり初期の浅い理解と関連して、教育界において、「補導かカウンセリングか」というような対立的な捉え方になったことは残念なことであった。(90ページ)
ロジャーズに関しては、CBLコーチング情報局でも詳しく取り上げています。米国で評価が確立し、新たな心理療法の扉を開いたロジャーズの考えは、少し遅れて紹介された日本でも衝撃を与えたことが、河合さんの記述からも伝わってきます。
このような単純な二者択一の論理で、教育の問題が解決するはずがない。教育というのはあくまでも「人間」が対象であり、既に何度も繰り返したように、生きた人間を相手にすると、単純で整合的な論理によっては、ことが運ばないのである。(90ページ)
河合さんは、「あれかこれか」の二者択一ではなく「あれもこれも」という考えに軍配が上がる、と明快に言葉にします。ただし、このことを実際に行うのは困難であるとも述べ、その上で次のように語りを進めます。
不可能な理想論を述べているように思われるので、実際に即して言えば、人間というものはその人のもつ傾向、好みがあるので、「補導」を好きになる人と「カウンセリング」を好きになる人がある。その好きな方を選んでやりはじめ、そこで、自分の接する生徒を中心に据えて会っていると、カウンセリングをしていても、時に生徒に対して制限を加えたり叱責せざるを得ない場面にぶつかるであろうし、「補導」をしていても、生徒の気持ちを理解することの必要性を痛感させられるだろう。(91ページ)
CBLコーチング情報局は、コーチングを語ることですから、アイデンティティの定まっていない生徒への「教育」とは、そのスタンスを異にします。ただし次のコメントは、コーチングとも共通する「人間」への眼差しとして示唆に富む言葉であることが伝わってきます。
事実、筆者は多くの現場の教師の方々に接してきたが、補導からきた人も、カウンセリングからきた人も、単純な教条主義に陥らず、あくまでも生きた存在としての生徒を中心に据えて考え続けようとした人は、その後も成長を続けている。(91ページ)
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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