
(中沢)
……いろんな神話がそれについて語られていますが、僕がいちばん感動した神話は、赤マタ黒マタの神様は実は子どもなんだ、という神話でした。あるとき子どもが山へ入ってしまって、行方不明になった。行方不明のまま幾日も経って、村の人はみんな死んだと思ってお葬式をしたけれど、母親だけが「あの子は絶対死んでいない」と言い張った。それで来る日も来る日もその子の帰りを待ち続けている。……
河合隼雄さんと中沢新一さんの対談集『仏教が好き!』の第3章「仏教と性の悩み」の9番目の見出し、「観世音菩薩体験と沖縄仮面研究」を取り上げる2回目です。
中沢さんによる、八重山の豊作祈願のお祭りである「赤マタ黒マタ」という仮面の儀礼についての語り始めを、前回の最後で引用しています。その内容紹介は2ページ以上費やされるのですが、冒頭の引用は、その半ばあたりに登場するコメントです。
その息子は、ある夜にひょいと出でくる。そして「お母さん、私はもう人間ではなくなりました」「でも、お母さんに会いたいからこうやって出てきます」と言って、また消えてしまうのですね。息子は年によって出てきたり、出てこなかったりします。気づいてみると、出てくる年は豊作、出ない年が凶作ということでした。そこで、毎年豊作にしたいということで、男性だけの結社が仮面をつくって、この子どもをあらわして儀式をするようになります。すると、二度と子どもはあらわれなくなった、という顛末です。
中沢さんは、この神話にインスピレーションを得て、次のように解釈を進めます。
(中沢)
……これを見ていると、つまり、男性秘密結社のなかに出てくる神様というのは、母親と子どもがいわばドッキングした母子一体の存在で、男はそれを仮面に変えちゃって、自分たちのものにしちゃったわけでしょう。ここに沖縄文化のなかにひそむ、一つの飛躍があるなと、感じました。つまり、自然な段階では、これはユタとかノロを媒介する女性の自然な宗教でしたが、ここにこれを否定する飛躍的なものが出てきて、こういうお祭りをつくっているんじゃないか、男たちがある面は、生身の自然な女性たちを否定して象徴にしようとしています。
(河合)
原理として母性が大事なのですね。
中沢さんは、沖縄の男性が聞くと腹立ちを覚えるだろう言質で、沖縄文化(宗教)を語っています。曰く…「もともと沖縄はユタとかノロとか、女性の宗教じゃないですか。言ってみれば女性が支配している世界です。日常生活だって、男はたいした役を果たしていない。そういう世界で秘密結社をつくって、特別なお祭りをするんです。」
秘密結社の意味が、こうやって中沢さんの解釈で語られます。中沢さんの女性観と、対になる男性観が如実に伝わってきました(笑)。中沢さんは、河合さんの反応を受けて、「女性が持っているパワーを男が独占しようとしているという面もあって、二つの面があります」と、言葉を継ぎます。対話は、沖縄から日本社会に広がります。
(河合)
そこが面白いところで、日本でもそういうところがあるんだけど、女性原理を男どもは独占しようとして男社会をつくるんです。
(中沢)
そこなんですよ。
(河合)
だから女性原理でありながら、女は何か考慮の外に置かれたり、非常に地位がひくくなったりします。男どもは威張っている。
お二人の語り合いにドライブがかかってきました。
しばらく仏教から離れてしまうのですが、この見出しの最後に中沢さんは、本来のテーマに戻すべく、大きなスケールで仏教を捉えます。大言壮語の感もありますが(笑)、エキサイティングな対話によって生じた「覚醒」と受けとめ、引用することにします。
(中沢)
仏教の本質とは、ですから極端なパラドックスだと思います。ですけども、人間が「自然教」から飛躍しようとして生み出した解決法としては、いちばん高度だったと僕は考えています。一神教の解決法では、女性を抑圧してしまいますからね。仏教はそれよりも人間の自然にフィットしています。一神教は女性を抑圧した上で、商品社会という女性イメージ的な世界を発達させました。この抑圧形態が、いまグローバル資本主義として、アジア全域を支配しようとしています。「アジアよ、覚醒せよ」ですね。それには、仏教とは何かを考えてみるのが、いちばんの早道だと思います。つまり、やっぱり問題は「婦人問題」だということです。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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