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(中沢)
治療の時期はどれぐらい進んでいるのですか。
(河合)
これは、だいたい一週間おきか二週間ぐらいですね。
次は、これは貯水池なんです [写真3参照] 。貯水池から水が流れているんだけど、ちょっと流れきってはいないですけど……。
(中沢)
水源というわけですね。
(河合)
水源を見出したというか。それから、流れるという、そういう感じですね。
もうひとつ、すごく面白かったのは、この人は、自分の幼いころの思い出を語っています。自分は山の上に行って、貯水池へ行くのが大好きだった。貯水池へ行くと、これが電柱なんです。高圧線が通って、このへんに女の子がいます。これが自分の小さいときで、高圧線の電柱に耳をあてると、なんともいえない音が聞こえてくる。それが大好きだった。
(中沢)
僕も好きでした。遠くの宇宙からの信号音みたいで、ウットリして聞いていました。
河合隼雄さんと中沢新一さんの『ブッダの夢』の第3章「箱庭療法の宗教性」を取り上げてのコーチング解説です。同書に添付されている [カラー写真1~12] については、著作権の関係で紹介できませんが、そのイメージを想像しながら、河合さんの「解釈」に身を委ねていただけば、と思います。
今回の河合さんは、「箱庭療法」の治療を行ったクライアント(河合さんと同年代の女性)の同意を得て、3回目に作った箱庭について、クライアントの「物語」を語ります。河合さんの語り口は、とってもいい。クライアントは、もちろん芸術家ではありません。ただし河合さんは、「治療」というクールな視点を超えて、クライアントの箱庭を純粋な「作品」として観ている。まるで美術館に展示されている美術品を鑑賞しているように…
私たちコーチも人に関わる専門職です。たくさんのスキルを学び、多くのクライアントとのセッションを重ねることで、プロとしての実力が高められるのです。そのうえで…河合さんの著作を通じて体感されることは、「リベラルアーツ」の重要性です。
河合さんは、臨床心理学の専門書だけでなく、軽妙なエッセイや対談など膨大な著作を残され、日本文化の素晴らしさを世界に発信する「語り部」としての人生を送られました(亡くなる直前まで、文化庁長官を3期務められています)。
コーチング大百科は、小川洋子さんと河合さんの対談である『生きるとは、自分の物語をつくること』も読み込み、解説しています。その一つである「河合隼雄さんのすべてを受けとめた小川洋子さんは『新たな物語』を生み出した!」のタイトルで公開した内容を振り返っています。
引用した小川洋子さんの言葉を再掲します。
…… その瞬間、先生の顔に浮かんだ表情、思わず漏れた声、宙の一点に絞られた視線、それらに接した私は、失礼にも「先生は本物だ」と確信しました。……
日本の作家の中で、数少ない「ノーベル文学賞候補?」としても名前が挙がっている小川洋子さんの「言葉の重み」もすごいですね。
次回も刻々と変化していく、箱庭療法のクライアントについて、語ってみようと思います。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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