河合隼雄さんのエッセイ集である『こころの処方箋』の18番目のタイトルは、「説教の効果はその長さと反比例する」です。
「説教」という2文字から、私たちはさまざまなことをイメージするでしょう。その一つに「説教って、なぜかわからないけど長いというか、短い説教ってないよなあ」と、漠然と感じていると思われます。河合さんは、前半で、「説教はどうして長くなるのか?」という理由を詳細に分析しています。
聞かされる方は、「何時終わるか」ということにのみ関心があって、語られている内容にはほとんど心を向けていないことが多い。そしてまた不思議なことに、「もう終りだ」と思っていると、「しかしだな……」という調子で同じことが繰り返し語られたりして長くなるのである。
笑ってしまうくらい「あるある」が伝わってきますね(笑)。そして河合さんは、説教している人の心の中を腑分けしていくのです。
説教はえてして長びき勝ちとなる。いったいこれはどうしてだろうか。それはまず、説教で語られる話が、何と言っても「よい」話には違いないので、話をしている本人が自己陶酔するので長くなるようである。平素の自分の行為の方は棚上げしておいて、「よいこと」を話していると、いかにも自分が素晴らしい人間であるかのような錯覚も起こってくるので、なかなか止められない。
自分が「説教」しているときの「感覚」を、思い返してみる必要がありそうですね。河合さんは、もう一つ、「自己陶酔」とは異なる視点の「長くなる理由」を挙げます。
説教をしながら、何となく自分の言っていることが相手の心にとどいていない、効果をあげていない、ということがうすうす感じられてくるので、どうしても同じことを繰り返したり、だめ押しをしたくなったりして、長くなるのである。説教をしていて、同じことを繰り返さない人はまれであろう。
そして河合さんは、短く処方箋を語ります。
説教を効果的にしようと思うなら、短くすることを工夫しなければならない。
ここで読者は、「説教を短くするための具体的方法を河合さんが教示してくれるのかな?」と感じるでしょう。ところが河合さんは、それを上手に裏切ります。
短いほど効果があがるのであってみれば、説教などしない方がいいのではなかろうか。それは無いにこしたことはない。
後半に向かって、河合さんがこのエッセイで言いたいことの像が結ばれてきます。
説教する側としては、説教はしないにこしたことはないわけだから、自分の精神衛生を上手に保つことがまず大切であろう。精神衛生がうまく保たれていると説教する気などあまり起こらないものである。そして、説教をしたくなった場合、その背後にどのような欲求不満が存在しているかを考えてみるのもいいだろう。他に説教して迷惑がられることよりは、自分の欲求不満を解決するために、どのように取り組むべきか考えてみることの方が得策のことが多い。そのことに心を使っているうちに、説教することなど忘れてしまう。
「説教したがる人」に対する「説教を忘れてしまう」ための処方箋であることが判明しました。そして、河合さんらしいウイットでこのエッセイは終結します。
なんでも理想どおりにはできぬので、時には息抜きに説教をやらして頂いている、と思いつつするのが、いいところであろう。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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