…… ところが、近代医学はやっぱり大したもんですね。切ったらなくなるとか、この薬を飲めば化膿は防げるとか、これはこれではっきり方法を持っている。それと違う方法があるのだが、それにも同じ方法論を適用するので困るのです。みんなあまりにも、こうすればこうなるのパターンが好きで、下手な因果関係でとらえてしまって間違ってしまう。
河合隼雄さんと中沢新一さんの対談を収めた『ブッダの夢』を引用しつつ、コーチングを語ることを始めています。
引用は、第1章「仏教と癒し」の3番目の見出しである「仏陀の癒し方、イエスの癒し方」の中にある河合さんの言葉です。この見出しの始まりで、中沢さんは「イエスが病人を癒す癒し方と仏陀の癒し方、ちょっと違うなって感じています」、と言葉にします。中沢さんは「新約聖書」のイエスの超自然的な(奇跡?)治し方をいくつか紹介した後、仏陀の治療法と対比します。仏典の中にある、子供を亡くした若い母親が、仏陀のもとを訪れ、この苦しみを治してほしいとお願いする話です。
(中沢)
仏陀が、じゃあ、その悲しみはどこにあるか探しておいでと言って、彼女はそれから何日間も、その悲しみを至るところ歩き回って探し回るわけですけれど、何日かして、仏陀のところへ来て、ついに悲しみがどこにあるかわかりませんでした、と報告する。するとそのときには悲しみの感情も消えてしまっていた。
河合さんは、この話を受けて……
(河合)
そうですね。だからいま言われたように、私が手を触れればあなたのハンセン病は治ったという方法をなんとか実現しようと思うと近代医学が出てくる。私が切ったから、あなたの癌はなくなったではないか、これははっきりしているでしょう。漢方のほうは違います。だからそのへんも考えてみると、ほんとうに二つの流れがあるとわかりますね。
こうして、「因果関係」を根拠に「断定」を目指す「近代医学」と、「あいまいさ」を包摂する「仏教的思想」の二つの流れに対話が広がっていきます。
(中沢)
今の医学ではどうしようもありませんとか、余命はもうありませんとか、断言をしてしまう。
(河合)
それで処置なしという言葉がある。
(中沢)
処置なしって言う。そんなことどうして言えるんだろう。
(河合)
だから、けしからんことなんだけれども、ある子供に対して、この子は処置なしであるとか、言うわけでしょう。
(中沢)
よくそう言われました。今もですけど(笑)。
(河合)
そうでしょう。僕もだいぶ処置なしの類だったですけどね。……
愉快な語り合いが続きます。そして、未来のことを断定するのは「呪いの言葉」であると…
(中沢)
だから、もういろんなところで、教育とか医療とか、みんなで呪いの言葉を投げつけ合っているんじゃないでしょうか。
(河合)
僕の仕事は、呪い解きのほうをやっているんです。
この見出しの最後は、河合さんの次の言葉で〆られました。「無知の知」、そして河合さんの「待つ」哲学です。
(河合)
だから、いちばん根本の態度は、要するに何もわからないというとこから、まず出発するんですね。この子は手がつけられない非行少年であるとみんなが言ったとしても、それはどうかわからないと思って会うわけでしょう。まったくどうなるかわからないという。それはすごく大事なことじゃないでしょうかね。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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