薬のなかには「毒薬」という恐ろしいものがあるが…

河合隼雄さんのエッセイ集である『こころの処方箋』の32番目のタイトルは、「うそは常備薬、真実は劇薬」です。

河合さんは、数多くの「至言」を残されていますが、この「言葉」は特に有名です。チャットGPTに「うそは常備薬、真実は劇薬」は、誰の言葉ですか? とシンプルに質問したところ、長文の回答がすぐに返ってきました。最初のパラグラフのみ紹介します。

「うそは常備備薬、真実は劇劇薬」という言葉は、日本の心理学者で臨床心理学者でもあった河合隼雄さんの著書『こころの処方箋』に出てきます。この言葉は、上手に適当なうそをつくことで人間関係を円滑にするという考え方を表しています。しかし、真実を話すことは、相手にとっても自分にとっても勇気がいることです。真実を話すことで、自分の本当の気持ちや欠点を見つめ直すことができます。また、真実を話すことで、相手から信頼や尊敬を得ることができます。河合さんは、「耐える」だけが精神力ではないというメッセージを伝えています。

この回答は、当然『こころの処方箋』に書かれている内容をチャンクアップしたものだと想像しますが、果たして、河合さんの思いを伝えているのかどうかの検証も兼ねて、今回の解説を進めてみることにします。
エッセイの冒頭です。

人間関係を維持することは、あんがい難しいことである。日常の何気ない接触のときでも、われわれはそのために気を遣っている。あるいは、ほとんど無意識に言ったり、したりしていることでも、考え直してみると、なかなかうまくやっているものである。

河合さんは、「好ましくないうそ」を紹介しつつ、次のような話を展開します。

一般には、人々はそのようなことはなく、適当なうそを上手に混じえて、人間関係を円滑にしている。しかし、そのような常備薬としての「うそ」も、いつもいつも用いていると、中毒症状がでてくる。だんだんとそれは見えすいたお世辞になってしまい、それがしかもほとんど自動的に出てくるので、他の人が、その人の言葉を信用しなくなってくる。あるいは、その人個人の感情というものがどうなっているのかわからなくなってきて、その人は精一杯お世辞をふりまいているつもりなのに、周囲の人は不愉快になってくるのである。

このあたりの河合さんの「味わい深い語り口」は、チャットGPTからは、まったく伝わってきません。「なぜなのか?」…平板な文章に矯正されてしまうチャットGPTのアルゴリズムにも興味が湧いてきました(笑)
この後で、「劇薬」につながっていきます。

中毒症状に陥らぬためには、われわれはここぞというときに、真実を言う練習をしておかねばならない。しかし、真実は劇薬なので使い方を間違うと大変なことが起こることを、われわれはよく知っておかねばならない。他人を非難したり攻撃したりするとき、うそが混じっている間はまだ安全である。その人の真実の欠点を指摘する時、それは致命傷になる。言ってはならぬ真実を口にしたために、人間関係が壊れてしまった経験をお持ちの方は、多く居られることと思う。

河合さんの「心のこもった」言葉が伝わってきます。
つづいて、「うそ」を非常に嫌う欧米人が、「歌が上手くない人」に対して、どのように声をかけるのかを紹介します。

そんなときには「下手な歌でしたね」というのは真実すぎる。さりとて、上手だというのも見えすいたうそになる。そこでもし彼が心を込めて歌ったと感じるとき、「心がこもっていましたね」というのは、うそではない。

要は、「うそ」は言わないのである。素晴らしいと思ってもいないのに「素晴らしい」と言ったり、似合っていない服を「似合っている」と言ったりする必要はない。しかし、よく観察すると、うそではなくて何かよいことが言えるはずである。

この言葉は、コーチングにそのまま敷衍できます。実際のコーチングセッションにおいて、守るべき「基本のキ」ですから。
このエッセイの最後も、河合さんのウイットが存分に発揮されます。チャットGPTは、人間味あふれた高度なニュアンスを掬い取るのは、どうも苦手なようですね。

いったい、自分は会話の際に、どのような処方箋をもって臨んでいるのかを反省してみると面白いだろう。もちろん、薬のなかには毒薬という恐ろしいものがあるが、それについては各自でお考え頂きたい。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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