「転語」によって意識のパラダイムは大きく転換される

そして永遠のコトバの創造的エネルギー全てを挙げての瞬間的凝結である「山」と、これまた同じ永遠のコトバの全エネルギーの瞬間的凝結点である「意識」とが、山を意識する私の意識として統一されます。根源的非言語の直接の分節体としての「山」がこうして現成します。

井筒俊彦さんの『意識と本質』の「対話と非対話~禅問答についての一考察」取り上げ、コーチングを語る15回目です。
1977年にイランの首都テヘランで実施されたシンポジウムに登壇した井筒さんの講演録(英語講演を自ら日本語に翻訳)は32ページとして収められています。筆者はこの講演録を丁寧に読み込んだことで、井筒さんが「序破急」を明確に意図して、ストーリーを組んでいることに気づきました。時間的にもほぼ1/3ずつの構成(各10ページ程度)です。
引用はその27ページ後半を引用しています。
「序破急」のそれぞれが、どのように変化しているのかについては、7月9日に公開した<井筒俊彦さんの1977年イラン講演は、先鋭的「序」「破」「急」の三部構成!>で、概観してみました。

<序>…
言語を媒介とするすべてのコミュニケーションには、さまざまの重大な問題が存在しているが、現代の「言語理論・言語哲学」では、その処方箋を見出すことができない。
この<序>では、「禅」はまったく登場しません。
<破>…
座禅による観想を極めると、「言語」は失われる。老子の「無名」の境地(大乗仏教では「空」、禅の言葉は「無」)に至る。
禅と禅問答が深く語られます。
<急>…
井筒さんは、「禅」の境地を語るために「破」において、徹底的に「言語」を否定したにもかかわらず、「だが本当は、言語にたいする禅の見方には、これとは反対の積極的、肯定的な側面もあるのです。」と、前言(<破>)撤回とも解釈されそうな「言語」で<急>をスタートさせます。

さて、残りは5ページ。講演そのもののクライマックスです。冒頭の続きを引用します。禅問答の「転語」によって、ほんとうの境地が訪れることを井筒さんは語ります。

禅の見る言語の本源的な働きとはおよそこのようなものであります。いわゆる「転語」というのがそれです。禅は実に厳格に、徹底して、言語が第一次的にこのような形で使われることを要求します。すなわちすべての語がコトバの直接そのままの顕現として自覚において話者によって発せられ、またまさにそのようなものとして聴者に受け取られることを要求します。そうでない言葉はすべて本来的な言語行為ではない。だから「一転語を持ち来たれ」と言います。

「転語」とは、ある一つの言葉によって思考の流れや認識を一瞬でひっくり返すこと、つまり意識のパラダイムを大きく転換する力のことです。筆者は、コーチングの「リフレーミング」を想起しました。
そして、ここでは「言葉」が「コトバ」に変っている。少し前から、このカタカナが登場するのですが、この変化に井筒さんは深い意味を持たせています。「コトバ」が登場するところを引用します。

この点から見ますと、形而上的「一者」は絶対未分節の言語、言葉以前の言葉、それ自体は絶対の沈黙であり、まだ言葉として分節作用を全く現していないけれど、しかも無限に自己を意味的に分節していくことのできる根源的非言語と考えることができます。西洋流の表現を使えばVerbum Aeternumとでもいうところでしょうか。絶対の沈黙でありながらしかも永遠の言葉であるもの、非言語…私はこの非言語という語を無言語から区別して、例の薬山惟儼の「非思量」に合わせて使っているのですが…でありながら、しかもあらゆる言葉、すなわちあらゆる存在形態の本源であるようなコトバです。

<破>は、「禅」を語るなかで、言語・言葉を徹底的に否定した。ところが<急>のスタートで、否定した「言語・言葉」を再度呼び寄せます。「禅」の「本源」に向かって。

「言葉」という漢字二文字が、何回使われているのか…膨大であるため、数えてはいません。上記引用の最後に注目してください。「しかもあらゆる言葉、すなわちあらゆる存在形態の本源であるようなコトバです。」と、「言葉」ではない「コトバ」に変化しました。
この講演は「英語」で語られていますから、その時、どのような英語が用いられたのか…興味が湧きますね。ひょっとして「Kotoba」と発音したのかもしれない…と、筆者は勝手に、想像を楽しんでいます(笑)。

ちなみに、ドイツ語のVerbum Aeternumの意味を調べたところ、「永遠の言」と訳されるようです。井筒さんは、「絶対の沈黙でありながらしかも永遠の言葉であるもの、非言語」を「Verbum Aeternum」に託しているようです。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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