河合さんと鷲田さんの対話が「変化するカール・ロジャーズ」につながった…
「心理学と哲学は研究分野を異にする」というのが、日本のアカデミズムの捉え方(価値観?)であり、「両分野には明瞭に“境界”が存在する」という前提に立っています。ところが、このスタンスに疑問を抱く心理学者の河合隼雄さんと哲学...
「心理学と哲学は研究分野を異にする」というのが、日本のアカデミズムの捉え方(価値観?)であり、「両分野には明瞭に“境界”が存在する」という前提に立っています。ところが、このスタンスに疑問を抱く心理学者の河合隼雄さんと哲学...
(鷲田)「そのときにしゃべっていることばは、聴くほうからか、話すほうからか、どっちがしゃべっているのかわからないことばにだんだんなっていく」と、前の対談のときに教えていただきました。哲学カフェをやっていて面白いなと思うの...
(河合)それは、われわれも同じことをやっていると言ってもいいぐらいですね。私なんか実際に個人を相手にやっている。ところが、ある人からたとえば「父親を憎んでいる。だから、私の目標は刑務所を出たときに親父を殺すことだ」という...
(鷲田)……いちばん面白いのは刑務所へ行って、それこそ幸福論なんかをディスカッションするわけです。刑務所なんかではすごくうまくいくらしいです。皆真剣だから。…… 前回、最後に引用した鷲田さんの言葉を再掲しています。ヨーロ...
(河合)……だから、今までの、いわゆる学問体系というのは、まず方法論が明確であって、方法論によって皆を安心させて、つまり「私はこういうことをしているから、結果はこうなんですということをわかって、その結果、こういう答えが出...
(鷲田)ケアとか看護といったシーンで、いちばん難しいけれどもいちばん大切なのが、「距離」でしょうか。密着しない。しかも離れすぎない「距離」……。(河合)それは本当にそうだと思います。(鷲田)看護師さんなんかでも、一生懸命...
(河合)本当にそうです。だから、それを割と意識して自分で面白い儀式をやっている人もいるけど、知らずにやってしまったらすごく近所迷惑でしょう? その人が命をかけてやるからね。かと言って難しいんだけれども、ある程度はむちゃく...
(鷲田)暴走族もそうですか。(河合)あれは命をかけているわけです。どこかに命をかけないと儀式にならないんですよ。だから、若者は何とかして命がけのことをやるわけですね。何でも流行ってしまったら儀式の意味がなくなります。だか...
(鷲田)あっ、逆に……。(河合)もうなれない。決められているわけだから。だから男になった人は、もう女になれないわけですね。女になった人は男になれない。しかも、そのときに「男らしいとは何か。女らしいとは何か」というのは全部...
(鷲田)先生がよくご本で書いていらっしゃるイニシエーション=通過儀礼とか成人儀礼というのがありますけれども、そういうイニシエーションが明確に存在する時代というのは、まずいったん終わって次の段階に行ける「人間の節目」という...
(河合)僕は全面コウフクしたんですよ。「降伏(=幸福)しました」って(笑)。もう書かなかったんです。(鷲田)あれ、私も原稿を書いたのでパラパラ見てたんですけれども。不思議なのは、正直言ってゾクッとするのがやっぱりないです...
(鷲田)私が中学生ぐらいのときに、日本に本格的にロックが入ってきたんです。ビートルズが中学1年生のときに入ってきまして、あのとき、今でもそうですけれども、初期の曲を全部英語で歌えるんですね。でも今だから改めて意味を考える...
(鷲田)河合先生は、谷川俊太郎さんとのご対談の中で「感心する才能」ということをおっしゃっておられますね。つまり、たとえば治療の一環として絵を描いてもらったときとか、あるいはお話を聞かれたときに、「これは何を意味するのか」...
(鷲田)河合君のことばと、ミシェル・セールのことばは、今まで私は魂を避けていたんですが、こういうことばだったら、魂ということばをリアルに語れるかもしれない。それ以来少し気が楽になりました。(河合)それはすごく面白い。魂を...
(鷲田)私、先生と向かっていろいろじっくりお話しさせていただくのは今日がはじめてなんですけど、実は、先生の長男でやはり臨床心理学者の俊雄さんとは面識があります。あるとき彼がふともらしたことばに目からウロコが落ちました。と...