
(河合)
鎌倉時代になって日本人も変わってきた。みんな悩み方に変化がおきたと見るべきではないでしょうか。だからもともとの仏教とは明らかにあそこで違ってくるというか。
(中沢)
なぜそんな変化が出てきたかというと、おそらく法然や親鸞の弟子になった人びとが、武士や漁師のように殺生をする人たちが多かった、ということと関係していると思います。
(河合)
だから武士がおこってきたということは、すごいことやと思う。鎌倉時代の武士がおこるまでの平安時代は、本当に殺生の少ない時代ですね。
河合隼雄さんと中沢新一さんの対談集『仏教が好き!』の第3章「仏教と性の悩み」の6番目の見出し、「親鸞が悩み出した戒律の意味」を取り上げ語ってみようと思います。
この第3章の横断テーマは「性」、つまり「セックス」です。全部で10の見出しで構成されているのですが、前半の5つまでが、「性」を具体的にリアルに捉え、対話が繰り広げられる(笑)のに対し、6番目からの後半は「鎌倉時代に日本の仏教が大きく変容した」という、スケールの大きな語り合いに移行します。中心は親鸞。仏教の戒律(殺生禁止)と武士の生き方との根本的な矛盾が、親鸞の思想形成に深く関わっているという視点です。
親鸞の凄い思想は徹底的に悩みぬいたからこそ、生まれたことがお二人の対話から伝わってきました。仏教が示す根本的思想は「殺してはならない」です。「理想」であり、だからこそ「崇高」です。ところが「殺すしかない世界」は明瞭に存在するわけで、この「現実」を親鸞は真正面から受けとめるのですね。
戦闘集団である武士と呼ばれる人たちは、平安時代にも存在したわけですが、ただ政治的存在ではなく、むしろ黒子として自他ともに認めていたと思います。それが平安末期に至り、歴史の中心に躍り出る。政治を司る存在として主役を担うことになる。日本の歴史における根本的で本質的な変化です。革命ですよね。
筆者は、「武士」という言葉は尊称までとはいかなくても、肯定的な響きを感じています。この呼称が定着したのは、10世紀の「承平の乱(関東での平将門の乱)」「天慶の乱(関西の藤原純友の乱)」あたりからのようです。当時の朝廷にとっては東西同時の大規模な騒乱であり、武士の台頭を象徴する出来事でした。まさに歴史の交差点です。
ところで、米国の分断はすでに「内戦」に至っている、と指摘する識者の声も聞こえてきます。日本人が日本を見つめる際に「この日本でも内戦は起こる」と考える人は果たしているでしょうか。ただ、「平安時代末期~鎌倉幕府の成立」は、西日本と東日本の間にまさに内戦がおこり、東日本が勝利したという時代だったのではないか…中沢さんの指摘からイメージされました。だからこそ「革命の時代」だった。
ここでの見出しの最後に、中沢さんは「野生の思考」を語ります。日本の、そして世界の巨人たちの思想をくぐりぬけて、「中沢学」たる「中沢さんの思想」が形成されます。その巨人たちのなかでも、圧倒的に影響を受けた一人を挙げると、その人物はレヴィ=ストロースでしょう。オリジナルな思想を確立した巨人(中沢さんも河合さんもそうです)に共通するのは、「一つの世界に徹底的に沈潜した体験」を有していることではないか…そのように筆者は感じています。河合さんについてはカール・グスタフ・ユングですね。
(中沢)
……関東武士は関西武士と、背景となる世界がまったく違っていました。そういう人たちが西の文化とぶつかったとき、彼らの生き方は否定されてしまう。神道からも仏教からも否定された。関東武士のなかに発生した仏教の大きな変化が、ついには親鸞のああいう新しい仏教につながっていったのではないかしら。(中略)仏教だけが「動物を殺してはいけない」と言う。しかし、その思想は深いところで「野生の思考」に連続している。つまり、狩猟の世界とも深いところでつながっている思想としての「殺生禁断」なんです。日本仏教は、鎌倉時代にそういう問題とぶつかって、むしろ仏教を乗り越えるかたちで、これを解決しようとした。そのとき、縄文文化的なものと仏教とが、ふたたび出会うことになっています。ところが、キリスト教やイスラム教のほうでは、こんな複雑なことはおこっていません。切れているんですね。
(河合)
そう、はっきりとね。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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