臨床心理学者としてのロジャーズは、ニューヨーク州ロチェスターにある児童虐待防止協会の児童研究部にサイコロジストとして雇われた年がスタートです。ロチェスター時代のこの12年間を通してロジャーズは、当時のカウンセリングの権威とされていた人たちに対する疑問が膨らんでいきます。それが後に、カウンセリングの概念を根本から覆す、あらたなオーソリティとして確立される「ロジャーズの3原則」につながっていくのです。
『ロジャーズ選集~厳選33論文(上)』の中で、その時期の「3つの大きな重要な事例」について、ロジャーズは振り返ります。
1つ目は、ウイリアム・ヒ―リー博士の著作内容である「非行は性の葛藤にもとづくものが多く、したがって、この葛藤を意識化すれば、非行は治る」、に惹かれていたロジャーズでしたが、理由なき衝動的放火癖の青年に懸命に取り組んだ経験から、次のことを語ります。
私はそのとき感じた失望感を今でも覚えている。ヒ―リーは間違っているのかもしれない。私はヒ―リーが知らないことを学んでいるのかもしれない。とにかくこの事件から、私は権威者の教えにも誤りがあること、まだ発見すべき新しい知識があるのだという強い印象を受けた。
2つ目の事例は、ロチェスターに来て間もないとき、公刊されていた親の面接記録を読み、よい面接技術の事例として喜んで使っていたこの記録について、数年後にロジャーズが同じような仕事にあたって、この“優れた記録”を思い出し、再読します。
私はぞっとした。面接官は抜け目ない合法的な質問で親に無意識的動機を認めさせ、罪の告白を引き出しているように見えた。私の経験から、このような面接は、子どもや親に永続的な援助を与えるものではないことを知っていた。この事件から、私が臨床的人間関係では、押し付けたり、強制したりするアプローチから遠ざかってきていることに気づくようになった。
この事例の数年後、手におえない息子をもつ、とても頭の良い母親との面接を通して、ロジャーズは新たな知見を得ます。
母親が幼児期にその子を拒否したことがあるのが明白であり、そのことを母親に洞察させるべく、彼女を誘導し、彼女が話した事実をならべて、そのパターンを理解させようと努力するのですが、何度も面接を重ねたにもかかわらず、どうにもならなくなり、失敗と認識したロジャーズは面接をやめた方がよいのでは、と提案します。
そこで私たちは面接を終了することにし、握手をし、彼女はドアの方へ歩き始めた。そのとき、彼女は振り返って、「先生はここで大人のカウンセリングはやりませんの?」と尋ねた。私がやりますよというと、彼女は「それじゃ、私うけたいのです」と言って、今まで座っていた椅子に座りなおした。そして彼女は、絶望的な結婚生活、うまくいかない夫との関係、失敗感や混乱した気持ちを吐露し始めた。これらは、彼女がそれまで話していた不毛な「生活史」とはまったく違うものであった。そこから本当のセラピーが始まり、結局は成功した。
このような経験を通過していくことで、ロジャーズによる「クライエント・センタード・セラピー(来談者中心療法)」が誕生していくのです。
開かれた心持で対象を深く捉えていく体験は、さまざまな気づきをロジャーズにもたらします。そのことを、先入観を排し臨床に適用していくと… それまでのカウンセリング概念が根本から覆されていくのです。結果的にロジャーズの人生とは、既存の権威に対する徹底的な挑戦(ロジャーズ本人はどちらかというと無自覚でしたが)のプロセスでした。
「オープンであること!」… 人が成長していくための必須かつ最上位の態度であることがロジャーズの人生から伝わってきます。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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