今回のキーワードは、「宗教」との関りの深い「ヌミノース」という言葉を、取り上げてみようと思います。日本人にとっては、よほどの専門家でなければ、認知されていない言葉です。ただ、河合隼雄さんは、「ヌミノース体験」が宗教を理解するための糸口となるとして、『<心理療法コレクションⅠ>ユング心理学入門』のなかで、紐解きます。
ところで、私たち日本人が当たり前のように使っている「宗教」という熟語が、いつ誕生したのか… Wikipediaによると、次のように説明されていました。
幕末期に英語の Religion の訳語が必要となって、今でいう「宗教」一般をさす語として採用され、明治初期に広まったとされている。宗教は、キリスト教をイメージする用語として受容され、日本人の宗教のイメージに大きな影響を及ぼした。
これによると、私たちがなんとなくわかったような概念として共有できる表現の「宗教」は、江戸時代までは存在しなかった、ということです。「仏教」も世界宗教の一つとして定義されますが、日本人が「宗教」と聞いて喚起されるのは、「ゆるやかな仏教の教え」や、八百万の神の「神道」と異なり、上記のように、一神教がもつ「強い信仰心」がイメージされる、ということですね。
ヌミノース体験ということは、ユングが非常に重視しており、彼の宗教観とも結びついているので、ここに、それについて少し説明し、あわせてユングの宗教に対する考え方について述べたいと思う。ルドルフ・オットーは、宗教における「聖なるもの」(das Heilige)を追求し、そのなかにおける合理的な要素と、道徳的な要素を引き去ってもまだ残るものに注目し、それをヌミノースという言葉で呼んだ。つまり、人間を捉える宗教的な体験は、概念化して合理的に表現できる以上のものを含むことを重視したのである。(中略)
彼はヌミノースの要素をさらに追及し、それは、いうならば、畏敬(awfulness)、ちから(overpoweringness)、魅力(fascination)の感情を伴うものであると述べている。すなわち、われわれの自我の力をはるかに超えた圧倒感、抗しがたい魅力、そして近よりがたい畏敬の感情を起こさせるような、ある体験、これがヌミノース体験である。そして、このような体験が宗教の根本として存在することを彼は主張するのです。(199ページ)
「ヌミノース」について河合さんは、ここから本格的な解説を始めます。ただし、CBLコーチング情報局での説明はこれまでにとどめます。
どうして「ヌミノース体験」を取り上げたかというと、「キリスト教を深く信仰している人がクライアントだったら…」と想定してみたからです。そのクライアントは、コーチに対して「信仰」を一生懸命語ります。クリスチャンではない多くの日本人は、「その感覚」はなかなか理解できないでしょう。コーチは悩みます。それでもクライアントの気持ち、「その感覚」に少しでも近づきたいと、懸命に考え、想像します。
今回は「宗教」を介在させていますので、この「葛藤」は腑に落ちると思われます。そうして…
わかっていないのに「わかった」、という雰囲気を醸し出してしまうかもしれませんね。それは明快に「アンチ・コーチング」です。
神が登場する宗教的体験に限らず、芸術を通しての名状しがたい感動、大自然に包まれ一体化したような多幸感、夢にも関わらず起きがけの強烈な現実感を伴った魂を揺さぶられるような情動、といった体験もヌミノースに含めて捉える向きもあります。
コーチングとはリベラルアーツです。一人ひとり異なるクライアントの気持ちに、少しでも近づけるよう、さまざまな分野に興味を持ち続けることが、優れたコーチに成長する要件であることを、「ヌミノース」によって語ってみました。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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