(鷲田)
河合君のことばと、ミシェル・セールのことばは、今まで私は魂を避けていたんですが、こういうことばだったら、魂ということばをリアルに語れるかもしれない。それ以来少し気が楽になりました。
(河合)
それはすごく面白い。魂を求めてるんだけど、何をしていいかわからない者がセックスするんですよ。皮膚と皮膚が接すること。だから、セックスは意味が深いのだけど皆それが魂のことだとわからんから、皮膚と皮膚の接触でどんなに気持ちがいいかと、全然話が別のところにいく。
(鷲田)
「さわる」と「ふれる」の違いですよね。
(河合)
モチベーションには魂の問題が入っているんですよ。だからセックスのことがやたらに出て来るんですよ。
(鷲田)
魂それ自体が震えてしまう。
引用は、前回の最後に紹介した河合さんの「すごいねえ。それはすごい。」の続きです。河合君とは、河合隼雄さんの長男で、京都大学名誉教授の河合俊雄さんのことです。鷲田さんは、俊雄さんが“ボソッと”口にした、「からだが魂ちゃうか」に「目からウロコ」が落ちるのです。着地が見えない「思考」に、一つの「解」を発見しました。
図らずも、俊雄さんと鷲田さんの間にコーチングが展開され(俊雄さんがコーチ)、「気づき」というゴールがもたらされました。
『臨床とことば』の第2章「聴くことの重さ」の最後の見出しである「事例研究と文学の違い」の内容を取り上げ、コーチング解説を続けています。
河合さんは、鷲田さんの見解に「面白い!」を連発します。河合さんの晩年は「魂」を語ることが圧倒的に増えています。筆者は、河合さんが様々なシーンで「魂」を語る言葉にふれていますから、「何を言われているのだろうか?」と疑問を感じることは、まずないのですが、セックスと結び付けて「魂」を説くこの箇所は、2~3回読み返すことで理解につながりました。河合さんの想いと違わぬ理解であると自己認識しています(笑)
この後河合さんは、カウンセリングの終結を迎え、あいさつに来られた女性の言葉を紹介します。その口調は河合さんには珍しい「素直な自己肯定感」に満ちています。
臨床心理学者としての東の横綱と臨床哲学者の西の横綱が、がっぷり四つに組んだこの両雄の対談は、実は、はじめてのことでした。第2章の対談を通じて、河合さんは鷲田さんを、優れたコーチングのコーチ(「CBLコーチング情報局」の視点です)として、深く受容されたことが伝わってきます。まさにエグゼクティブコーチングです。
クライアントのすべてを正しく認識することにかけてのプロフェッショナルである河合さんが、「この人ならば心の内を何でも話せる。そして、その真意を正確に理解してくれる」と鷲田さんのことを受けとめたのです。全幅の信頼を置くことができたのです。
自己肯定感を自然体で開示された、第2章「聴くことの重さ」の最後の対話を引用し、今回のコーチング解説を終えることにします。
(河合)
それは面白いね。
これまでで、僕は最大の誉めことば言えると思ってるんですけど、ある波乱万丈の女の人がやってきたんですが、とてもみめ麗しいおしゃれな人だったんです。その人は五、六年かかってよくなってきた。ありがとうございました、と御礼に来たときに、僕にいちばん最初に会ったときのことが忘れられないと。本当に不思議でしたが、先生は私の顔にも服装にも全然注意しておられなかった、と言うんです。きれいな人がきれいな服着てるわけですからね。先生は、私の言うことにも全然注目していませんでした。そんなん全部捨てて、もし魂があるのなら、それだけをじっと見ておられました、と。
(鷲田)
ゾクッとすることばですね。
(河合)
ねえ。最高の誉めことば。その人は僕のところに来るまでに、あちこち相談に行ってるから、体験しているわけですね。そうするとたとえば、恋人の話したら「えっ」とか入っていってしまういうのあるでしょう。
(鷲田)
「魂を見ていらっしゃる」って、掴まれているってことですね。
(河合)
最大の誉めことばでしょうね。私の言ってることばに注目していなかった、というのもいいでしょう(笑)。
(鷲田)
でも魂には触れてくれてる。それが最初にわかるってすごいですよね。
(河合)
終わったからそういうふうに言えたのかもしれませんけどね。そのときはそこまで語れなかったかもわかりません。
(鷲田)
それは先生にとっては、ことばで受け取った以上の意味を持っていたんですね。
(河合)
ほんまに感動しました。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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