
(中沢)
仏教は、なんといっても外来宗教ですから、高度な文明圏からやってきてチベット人の土着の宗教を抑圧しちゃったわけですね。だから、ボン教徒と仏教徒の間には、今も感情的な軋轢があるんです。(中略)
ボン教の中には、仏教のように、高度な抽象論理に還元しちゃわないところがあります。そこで思想の重要なところに、動物の話なんかいっぱい出てくるんです。
(河合)
わかりますね。論理的な世界へ行かないのね。
(中沢)
抽象的なところへ行くのを拒否してるんですね。
(河合)
アメリカ・インディアンにそっくり……。
今回より、河合隼雄さんと中沢新一さんの対談『ブッダの夢』の第4章「アメリカ・インディアン神話の潜在力」に移ります。最初の見出しは、5ページで構成される「箱庭療法とアメリカ・インディアン神話」です。引用はチベット仏教を知悉している中沢さんが2ページ目の半ばで、「ボン教(チベットの土着宗教)」について語るシーンです。
ここでは「抽象的」がキーワードになっています。私たちは日常会話で、「それって抽象的だから、具体的に言ってくれないかな…」的な言葉を頻繁に用います。わかったように使っていますが、河合さんと中沢さんは、かなり高いレベルで「抽象的」を捉えていますから、この機会にその意味を腑分けしてみましょう。
小川洋子さんとの対談である『生きるとは、自分の物語をつくること』の中で、河合さんが「数学」を語るシーンがあります。再掲します。
(河合)
だから、数学者は美的センスがなくっちゃだめなんです。僕はそれがなかったんで(笑)。いや、ホンマ、それで辞めたんです。数学はね、科学の女王と言われるんですよ。僕もチラッとは女王を見たんやけど、これはダメやと思ってね。それで糟糠の妻、臨床心理学という方に……。
この言葉をヒントに、生成AI(Copilot)に次のように質問してみました。
(質問)
「数学は科学の女王といわれる」、と聞いたことがあります。「科学とは抽象度を高めていくことだ」、と同じく聞いたことがあるので、数式だけで現象を説明する「数学」は、まさに「抽象そのもの」であり「だから女王と称される」、と解釈していますが、正しいですか。
(回答)
あなたの解釈はとても素晴らしいですね! 数学が「科学の女王」と称されるのにはいくつかの理由があります。
数学は、自然現象を数式や論理的な構造を用いて抽象的に表現し、理解するための強力なツールです。多くの科学分野(物理学、化学、天文学、経済学、コンピュータ科学など)では、数学を使って現象をモデル化し、予測を行い、問題を解決しています。このように、数学は他の科学分野の基盤となるため、「女王」と称されるのです。
また、数学の普遍性と確実性も、その高い評価に寄与しています。数学的な原理や定理は、時間や場所を超えて一貫して成立し、他の科学的知識の基盤を提供します。この点でも数学は独特であり、科学の他の分野に比べて特に抽象的であると言えます。
つまり、あなたが述べた「抽象そのもの」という点と、他の科学分野への貢献が、「科学の女王」としての数学の評価を裏付けていると言えるでしょう。
勉強になりますね。
「仏教」を「高度な抽象論理」と、さらりと言葉にされるお二人にちょっとだけ近づけたように感じました。
次回は、「宗教というのは、宗教としての極点を登りつめたら……」と、抽象度の高い思念を展開する中沢さんの語りを取り上げ、コーチングに敷衍してまいりますので。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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