「愛」というのは一種のオールマイティとしてはたらく!?

河合隼雄さんの『大人の友情』の10番目のテーマは、「茶呑み友だち」です。まさに「大人」っぽい、シブい話が展開されそうですね。その第1話のタイトルは「中高年の嘆き」です。
「アメリカの心理療法家の友人たちと話をしていたとき、次のようなことを聞いた。…」と、エッセイがスタートします。「相談に来る中年、あるいは高齢の女性たちのなかで、離婚後の人生をどう生きるかについての相談が多い」と、彼らは語ります。
その典型的な例は…

学生時代に結婚し、夫は大学院にすすんだが、彼女は就職して夫の研究生活を支えた。やがて、彼は博士号を取り、大学に就職し、収入も十分あるようになり、子どもたちも生まれ、二人力を合わせて家庭を築いていく。
やがて、子どもたちも大学に入学する。何もかもうまくゆくと思っていたときに、夫が他に愛する女性ができたので離婚したいという。相手は教え子の大学院生。頭がよく美しく、魅力に溢れている。

ここまで読んだとき、典型的な日本人と自覚する筆者は、「身勝手な夫だなあ…」との思いがきざしています。妻は当然のごとく、「私が若いときに支えてやったから、あなたはここまで出世したのではないか」、と糾します。それに対して夫は、「それはわかる。が、自分は彼女を愛しているが、お前に対しては、愛は感じられない」と、直截な言葉を返します。さて、ここからの展開が、日本とは異なることを河合さんは指摘するのですね。

こうなると、「愛」というのは一種のオールマイティとしてはたらく。もちろん、子どもが大学を出るまでは養育費を払うとか、財産はどう分けるとか、このような点は極めて「合理的」に話しあって、それに従うというわけである。

河合さんは「典型的な例」と語っていますので、日本の世間で多く発生しているだろう「合理的ではない修羅場」のような離婚劇とは、米国はどうも違っているようですね。

「“愛”=オールマイティ」という表現は、河合さん独自の発想ではありません。欧米の文化には、「ロマンチック・ラブ」の価値観が基底に存在していることを、河合さんは、次の第2話で、説明しています。つまり、「夫が妻に愛がなくなったと“真面目”に告げる」ことは“理不尽”ではなく、「妻が夫を攻撃できる要因にはならない」ことを、欧米社会が共有している(らしい)のです。

ちなみに、こういう際の若いチャーミングな新しい夫人を、トロフィ・ワイフと言うらしい。トロフィを取って優勝気取りの方はいいが、別れた女性はどうすればいいのか。

この別れた女性が、夫を恨んだり嘆いたりすると、周囲の人は彼女の自立性のない弱い女性と見なすことになる。そこで、多くの場合、女性は、こんなことで私はへこたれはしない、自分の人生をしっかり生きてゆくのだ、という姿を他人に見せねばならない。

さて、河合さんは、この第1話をどう締めくくるのでしょうか。戦後の日本社会のあり様は、米国で起こったことが、時間軸はまちまちであれ、同様な社会現象として現れてくることが、一定程度証明されています。

もう少しつけ加えておくと、トロフィ・ワイフを獲得した男性のその後も、必ずしも幸福とは限らないとのこと。お互いに「愛あって」結婚したことは事実だが、年齢差が相当あることもあって、数年のうちに、愛が変化して、それほど幸福が長続きしないというのである。
この話を聞いていて、いかにもアメリカらしい話だな、と思ったが、何年かすると日本もこうなるのかな、とも思った。ともかく、この問題は簡単に答えられぬ深刻さをもっていることは事実である。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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