河合隼雄さんの<心理療法コレクション>Ⅰ~Ⅵの各巻末には、このシリーズがどのような背景で刊行されたのか、編者である河合俊雄さんの言葉が添えられています。
本コレクションは、私の父であり、ユング心理学を日本で最初に本格的に紹介した河合隼雄の「心理療法」についての著作の主なものを、一般読者に手に取りやすい文庫という形で提供しようとするものである。2006年8月に突然倒れ、意識不明のままほぼ一年後の2007年7月に亡くなった父は、少なくとも意識的には死の準備などできなかった。生前の仕事の仕方からして、ほぼ何の遺講も残っていない。残された仕事を出版するすべもないなかで、このコレクションの出版には追悼の意味もこめられている。(各巻末…<心理療法コレクション>刊行に寄せて>より)
今回のキーワード解説から、当該コレクションの最後に刊行された『<心理療法コレクションⅥ>心理療法入門』を取り上げてみることにします。河合隼雄さんは、本書の「はじめに」で、「心理療法」をつぎのように説明しています。
心理療法という言葉は、英語のpsychotherapyの訳語である。本書にも詳しく述べているように、それは医療モデルによる「治療」とは異なるものである。医学の場合は、病気の原因を明確にし、それに対して薬にたよったり、手術によったりして、原因を除去するという方法がとられる(もちろん、東洋医学、ホリスティック医学などの場合は、これと異なるが、これについては後に触れる)。これに対して、心理療法の場合は、根本的にはクライアントの潜在的可能性に頼る、というところがあり、「病気を治す」というイメージよりも、その人の本来的な生きる道筋に沿っていく、というイメージの方が強いのである。(「はじめに ⅲ」より)
コーチングに関するキーワードを解説するCBLコーチング情報局において、河合さんの言葉を多く取り上げてきたのは、引用の最後の「クライアントの潜在可能性」「その人の本来的な生きる道筋」という言葉に集約されます。
河合さんは、一人の臨床心理学者ですが、実に広範な仕事をされてきました。2002年からは「文化庁長官」も務められています。
2002年1月18日より第16代文化庁長官に就任。民間人(非官僚)の起用は今日出海、三浦朱門に続き17年ぶり3人目となった。2年の任期が終了した後も、お得意の駄洒落で盛り上げる講演をするなど、文化庁の知名度向上に貢献した手腕を買われ、2度に亙って長官留任を要請され、2006年10月31日まで3期4年余在任した。(Wikipedia)
社会、国に関わる仕事まで拡大していったことについて、河合さんは、「はじめに」で、次のように語っています。
筆者は、自分の前にいる個人をひたすら大切にして考える心理療法を主として仕事をしてきたが、そのことを基にして社会に対して発言し、社会のことについても実際にいろいろ仕事をしなくてはならなくなった。これもある程度一般に認められるようになったのは、筆者の方法論がそれほど間違っていなかったからだ、と思っている。これからは、社会や国に対してしなくてはならぬことも増えてくるが、やはり基本に、一人の生きた人間を大切にする、ということがあるのを忘れないようにしたいと思っている。(「はじめに ⅷ」より)
上記は「はじめに」の最後の言葉です。「やはり基本に、一人の生きた人間を大切にする、ということがあるのを忘れないようにしたいと思っている」は、河合さんご自身の「志(こころざし)」であったことが伝わってきますね。
この言葉を、CBLコーチング情報局としても大切にしたい「志」であることを、今回のキーワード解説の〆として援用させていただくことにします。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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