CBLコーチング情報局は、「コーチングはリベラルアーツである」と捉え、解説を展開しています。前回、河合隼雄さんが、カウンセラーのことを「音楽の指揮者に似ている点がある」と。メタファーを駆使して解説していることを取り上げました。
河合さんは高校の数学教師を経て、臨床心理学の道に入り、日本で初めてユング派分析家の資格を取得し、分析心理学や箱庭療法を日本に紹介しました。河合さんの功績の一つとして、ユング心理学の学派を超えた「日本臨床心理士資格認定協会」の設立(1988年)が挙げられます。カウンセラーという職能の理解が不十分であった日本に、臨床心理士の資格制度の確立と普及に尽力されたのです。
河合さんは2007年にお亡くなりになりましたが、最後は文化庁長官を3期にわたって務められました。つまり河合さんとは、心理療法家(カウンセラー)という役割を大きく超えた存在として、日本に、そして世界に名前を刻まれた方なのです。
前回も取り上げた『<心理療法コレクションⅡ>カウンセリングの実際』は1970年の著作ですが、ロジャーズの「genuine/自己一致」を解説するにあたって、すでにリベラルアーツの視点が現れています。
カウンセラーは自分の心の動きを的確に表現できねばなりませんが、そのような意味では、実は、それほどの心の高まりを歌いあげることのできている人は他にもいるわけです。たとえば、詩人であるとか、小説家であるとか、あるいは映画であるとか、あるいは格言とかにみつけることができるわけです。だから、カウンセラーは、そういうことも勉強すべきだと思います。ひとつの詩をみても、ひとつの音楽を聴いても、それがわれわれの心を豊かにします。われわれのそういう心のすべての高まりをひとつの表現に流しこむような形をわれわれが勉強する、研究するということにつながってくると思います。こういうふうに考えてきますと、カウンセラーの勉強すべきことは実にたくさんあります。(127ページ)
河合さんは村上春樹さんをはじめとするさまざまな分野の著名人と交流をもっています。私たちが河合さんに強く惹かれたのは、日本では珍しい「博識を超越したリベラルアーツを体現する人物」だったからだと振り返っています。
実際場面においては、下手をすると、自分の気持ちを言うのですか、クライアントの気持ちの方ですか、とすぐ割りきってしまう。そのように簡単に割り切るのではなく、そのときどれほどの小さい声、どれほどの大きい声も全部心のなかに響いてくるカウンセラーほど、genuineというのです。自己一致というのです。だから、良いことも悪いことも、大きい声も小さい声も、全部高鳴ってきて、そこからほとばしり出たものを行なうのです。(129ページ)
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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