非常にわかりやすい例は、箱庭なんかでも面白いことに右半分しか使わない人がいるんですよ。あれは面白いと思うけれども、右半分に置いて、左側はまるきり空いているんですよ。それでも「できました」と言う人がいるんですね。
前回より、『臨床とことば』第3章の5番目の見出し「言語化できない“臨床の知”」を引用してのコーチング解説を始めています。
河合さんが日本に導入した「箱庭療法」において、クライアントとカウンセラーが、どのような言葉と態度によって、治療が進められるのか…そのプロセスは、コーチングにおいてもとても示唆に富みます。
カウンセリングは、精神的な病を抱えている人がクライアントの中心となりますので、その点はコーチングとは異なります。
さて、カウンセラーとしての河合さんは、冒頭の引用にあるクライアントに対して、どのような「言葉」、そして「態度」で接していくのか…とても興味がわいてきますね。
「左側はまるきり空いている箱庭」を「できました」と言うクライアントに、読者のみなさんは、どのような言葉をかけますか?
河合さんの場合は…
僕が「どうなったんですか」と言うとするでしょう? そしたら、次のその人はものすごく委縮するでしょう? 「やっぱりこっちも置かないといかんらしい」。ということは、その流れを変えてしまうわけです。だから右半分で「終わった」と言う人にも、「ああ、そうですか」と言っているだけで、「左半分が空いている」とは絶対に言わないです。そこで「左半分が空いてますよ」と言ってしまうと「あっ左半分も置かないといかんのや」と思いますよね。
いかがでしょうか? 河合さんはこの後で、「こっちはものすごく考えていますよ、ものすごく考えている」、と言葉にしています。対人関係のプロフェッショナルである専門家の姿が立ち上ってくるシーンです。
鷲田さんとの間で「箱庭療法」に関する対話は続くのですが、カウンセリングの終結を迎えるに際し、河合さんが、「ただ、日本人の場合は面白い感覚があって…」と語るところから、引用してみましょう。
カウンセリングは「治療」です。したがって「終結」がゴールです。「パフォーマンスの向上」に焦点を当てるコーチングとは、そのゴールイメージは異なりますが、私たちプロコーチにとっても、意味深い内容だと感じられるところです。
ただ、日本人の場合は面白い感覚があって、「先生、終わります」と言ったら申し訳ないと思っている人がいるんですよ。先生のお陰でよくなってきたのに「終わります」と言ったら、何かポイと捨てるみたいでしょう? だから、自分はやめたいと思っているんだけれども、気をつかっているんですよ。その人は「終わりたい」なんて言えないものだから、「先生、飛び飛びで会うぐらいでいいんじゃないでしょうか」などと言うんですね。だからといって、こっちが真に受けて「飛び飛びで会いましょう」なんて言ったらいけません。僕は「いや、そろそろですな」みたいに言うんですよ。
そのときに「やめましょう」と言ったら、また気にする人がいるんですよ。「先生はやっぱり早くやめたがっている」と。私のことを気にしてへんと思ってしまうでしょう? ところが、日本語には良いことばがあって、「では、そろそろですね」とか。何かわからないけれども、そしたら、向こうも「そろそろですな」とか言って、だんだん歩み寄っていくわけです。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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