(河合)
カムパネルラは、僕は、男でもあるし女でもあると思ってたんです。ふつうわれわれが言うお母さんとかお父さんとか、恋人とかから、全部離れています。だからすごい世界を書けたと思いますね。
(中沢)
あの空間全体は、やっぱり観音様とか、阿弥陀様って言っていたものじゃないかと思うんですね。僕はチベットへ行ってはじめて観音様の像を見てびっくりしました。苦行僧なんです。男で、やせ細って。キリストみたいに、腰布一本つけて、痩せた男が立ってて、これなんだって言ったら、観音様で非常に男性的なんです。全体に観音といったら男性なんですね。
(河合)
日本へ来て変わる。
確かに日本人の「観音様」は女性のイメージですね。母性化したのが日本的な観音様である、と河合さんは指摘します。本当に日本は「母性」が好きなんだなあ…と感じてしまいますね(笑)。しかも幻想としての「母性」を(男性目線の母性?)。ただし、宮沢賢治の「観音様」は、それとは異なる……
引用は、『ブッダの夢』の第2章で、「『銀河鉄道の夜』の母性と父性」という見出しの中で交わされる対話です。
筆者は、この解説を書くにあたって、新潮文庫の『新編 銀河鉄道の夜』を再読したのですが、この見出しの内容については、先に読んでいません(と言っても『ブッダの夢』も再読です。ただし20年前に読んでいるので内容は忘れていました)。
これは成功しました。というのも、カムパネルラという人物がとても不可思議で、どのようにとらえてよいのか、モヤモヤしていたのですね(初読の際もそうだったと思い返しています)。つまり、河合さんと中沢さんの「カムパネルラの造形」によって、そのモヤモヤが一気に解消したからです。
河合さんは「お母さんとかお父さんとか、恋人とかから、全部離れています」と言葉にしています。もし、お二人による「カムパネルラの造形」を知ったうえで、『銀河鉄道の夜』を読んだ場合、この感動は訪れなかったでしょう。その感動は…「カムパネルラは賢治の妹のとし子を想って書いているんだ!」という気づきです。降りてきた感覚でした(このことは、河合さんと中沢さんは指摘していません)。
生成AI(Copilot)に賢治がとし子の死を、どのように受けとめているのか訊いてみると、次のような回答が返ってきました。
宮沢賢治の妹、宮沢とし子さんは、彼の人生において非常に大切な存在でした。とし子さんが亡くなった際、賢治は深い悲しみに暮れました。彼はとし子さんの死を悼み、その思い出を大切にし続けました。賢治の作品には、とし子さんへの愛情や思い出が多く反映されています。
文芸作品に深い感動を覚えること…コーチングのプロコーチは、リベラルアーツに通暁していることがとても大切です。そのことを、心理療法家の河合さんは繰り返し言葉にします。
今回のコーチング解説の最後に、『銀河鉄道の夜』全78ページの73ページ目に登場するシーンを引用します。とし子を想う賢治の心にぜひとも寄りそっていただきたいと思います。
「カムパネルラ、僕たち一緒に行こうねえ。」ジョバンニが斯う云いながらふりかえって見ましたらそのいままでカムパネルラの座っていた席にもうカムパネルラの形は見えずただ黒いびろうどばかりひかっていました。ジョバンニはまるで鉄砲丸のように立ち上がりました。そして誰にも聞こえないように窓の外へ体を乗り出して力いっぱいはげしく胸をうって叫びそれからもう咽喉いっぱい泣きだしました。もうそこらが一ぺんにまっくらになったように思いました。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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