
(中沢)
こういう治療方法と、いわゆるフロイト流の言葉でやる療法との関係について、よく検討はされてるんですか。
(河合)
もちろん。だから、僕だったら、ある程度、言葉でやっててもこれに近いんです。つまり、あんまり解釈しませんから。
今回は、河合隼雄さんと中沢新一さんの対談『ブッダの夢』第3章6番目の見出し、「箱庭は言葉を超える」を取り上げます。引用は、その書き出しです。
一つ前の見出しの中で、「解釈」が話題になっています。フロイトの「精神分析」で使われるキーワードですから、そのあたりを紹介しています。ただ、その際は、今回取り上げる「当該見出し」には目を通していなかったので、そのスタートで、いきなりフロイトが登場したので、ちゃんとつながっていることにホッとしました(笑)。
この後、河合さんがアメリカでの体験を語っています。「欧米人が箱庭を作ると、どのようなものができあがるか」、が語られるのですが、どうも日本人とは違っているようです。
欧米で箱庭療法を導入しているセラピストに、日本人のクライアントが作った箱庭を見せたところ…
日本人のは、なんかポーンと言語を超えて、あの帽子みたいなのが出てくるから、われわれが見せると、向こうの人はとても感激するわけです。日本人はなんとなく美的センスがあるんですね。
さて、欧米人のクライアントは、どのような箱庭を作るのか…
(河合)
…… そのスライドを見たら、いちばん端に、滑り台があって、そのいちばん上の高いところに、治療者が立っています。「これが治療者です」って。その下にクライアントが生まれたところから置きはじめるんです。生まれたときはこんなんで、ここで父親が離婚したとか。そういうときは、なんか怖いものが置いてあるわけです。自分の人生をずっと歩んでいって、最後に向こうのあれを目指して進んでいってることを語るわけです。その人の三十年の人生というものを、ひとつの絵に示すことができた。で、とても自分は感激したと。それで、僕にコメントは何ですかと言うから、……
河合さんは、このアメリカ人クライアントの箱庭を紹介する前に、「欧米の人は、箱庭を作っても、言語化が可能なような箱庭を作ることが多い」と、言っていますから、まさにそのような箱庭であることが伝わってきます。
さて、河合さんは何と答えるのか? 続きを引用します。
僕は「ノーコメントです」と言ったんです。なんですかって。いや、あなたは全部言ってしまっている。僕は何も言うことがないけど、あえて言うんなら、治療者の位置が高すぎるから、下へおりるべきではないか。あなたは上から見てるから、全部見えているような錯覚を起こしてる。
「まいった!」と、この箱庭を紹介したアメリカ人セラピストが、河合さんの指摘に脱帽したかどうかわかりませんが、筆者は溜飲が下がりました(笑)。
アメリカの治療者は「先生」になっているわけです。フロイト型セラピーからどうも抜け出せていない。
以前の解説で、フロイトの精神分析が権威として屹立していた時代に「それはおかしい」と、ロジャーズが異議を唱え、大変な格闘を経てそれを覆し、「来談者中心療法」がフロイトの精神分析に変わる、メインストリームになっていったことを紹介しました。
河合さんはユンギアンですから、ロジュリアンとは少し異なるスタンスですが、「クライアントファースト」はまったく一緒です。「コーチングの3原則」は、ロジャーズの「カウンセリング革命」がその母体となっています。
中沢さんは「治療のしすぎは、及ばざるがごとしですね」と、素敵な言葉を河合さんに返します。その言葉に続く、河合さんの珠玉の言葉を引用して、今回の解説を終えることにします。
(河合)
僕が言ったのは、治療者が上から見るので全部見えたように思うけど、あなたは低いところから見なさい。下へおりて何が見えるのかと言ったら、木が見えるとか、草が見えるとか言っても、何もわからんでしょうと。その草むらの中を、わけがわからんけど、二人でごそごそ歩いているのが治療者で、上から見ていて、そのうちにあの草むらを抜けると観察しているのは、治療者ではないと。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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