
8月がやってくる。イメージすることは、人それぞれ違うだろう。近年の異常な酷暑、宿題にうなされた夏休み、終戦の8月。しかし、私にとっての8月は、1996年の8月だ。ご存じ父が、西伊豆の海で溺れた夏だ。
前回まで、吉本隆明さんの長女で漫画家のハルノ宵子さん執筆『隆明だもの』にある「ハルノ宵子×吉本ばなな…姉妹対談」(173~249ページ)を取り上げ、コーチングを語ってきました。同書の最終ページ(294ページ)には、「初出」として、次の内容がプリントされています。
- 魂の値段『東京商工連盟ニュース』2021年6月28日
- 蜃気楼の地『東京人』2015年6月3日(原題・京成電鉄蜃気楼タワー行き)
- ハルノ宵子×吉本ばなな 姉妹対談 語り下ろし
- ハルノ宵子さんに聞く『続・最後の場所』3号 2016年10月
本書は、弊社が発行する『吉本隆明全集』の月曜の連載(2014年3月~2023年5月)に、右記(注 : 同書は縦書き)の4篇を加え、まとめたものです。
今回は「姉妹対談」から離れ、30(見出し)ほど収録された「月曜連載」の一つである「’96夏・狂騒曲」の始まりを冒頭で引用しました。
というのは、2月27日に、ばななさんが「お父さんは糖尿だったし…」と、言葉にするところを取り上げていますが、その箇所と「’96夏・狂騒曲」がつながったからなのですね。
吉本家は毎年の夏、西伊豆の某旅館を貸し切って、多くの知人友人と数日間「合宿」のように過ごすのが、恒例となっています。「狂騒曲」は、ハルノさんならではの絶妙なタイトルです。続きを引用します。
いつもと変わらない、宿での朝だった。父は朝食を終えると、食休みもそこそこに、海パンに着替え、Tシャツとパーカーをはおって、1足先に海水浴場に出発する。吉本家が滞在する数日間に合わせ、この期間宿は、友人知人その家族で、どの部屋も埋まり、合宿所のようになる。父は皆のために場所取りをし、ビーチパラソル2、3本を借りて、海水浴のベースとするために早く出るのが、慣習となっていた。……
ハルノさんと母親はブラブラと、いつも泳ぐ場所に向かったのですが、その場所に父親の隆明さんは見当たらない。途中でグースカ寝ているのだろうと、戻ったりで周囲を探すのですがいない。いつもの場所に戻ると1人の若い警官が立っていて、その警官が「これはこちらのお爺さんの物ですか?」と、母親に訊ねている。それは上顎の総入れ歯でした。
「は? お爺さん?」うちにはお爺さんはいないぞ…ああ、そうか! 人から見れば、ありゃりっぱなお爺さんだ。「父のことですね?」とは分かったが、初めて見た。こんなりっぱな総入れ歯を入れていたのか? だとしたら、たいした見栄っぱりだ。家族にすらナイショにしてたなんて。警官は「そうですよね。人の入れ歯なんて、じっくり見ないですもんね」と、そこで初めて荷物を見せた。いつも父が浜に持って行く巾着袋だ。小銭入れやタオルが入っている。父は中央突堤の先端付近で溺れたのだと言う。あの泳ぎ上手が? あんな浅い海で? にわかには信じられなかった。……
「狂騒曲」がこうしてスタートします。隆明さんが搬送された病院に向かうためにパトカーに乗り込もうとした時、ヘリが飛んできます。海水浴場の上をやたら低く飛ぶ。遠くに2機3機が飛んでいる。ハルノさんは「まさかね」と思う。それは「吉本隆明が溺れた!」との一報を受けたマスコミのヘリだったのですね。その“まさか”が現実に起こります。
筆者は、吉本隆明さんが溺れて意識不明の状態で病院に搬送されたことをマスコミの報道で知ります。大ファンであった筆者はとても心配しました。一人の老人が溺れたことをマスコミ(新聞やTV)が、大々的に取り上げたわけです。文化人としては異例です。「吉本隆明」がいかに大物であったのかを裏付ける「納得の現象」でした。
ハルノさんは、「狂騒曲」の一部始終を詳しく書き残します。まさに「観察と記述の鬼」としての面目躍如です。次回は、「ハルノさん目線のその全幕」を紹介しますので。
ところで「糖尿病」との関係は?…ということなのですが、次の見出し「幻の機械」のなかで、ハルノさんが語っているところを引用します。糖尿病はなんとも厄介な病気ですね。
溺れた原因も、私は低血糖だと思っている。糖尿病は、血糖値の乱高下が激しく、まったく読めないのだ。低血糖で、フッと意識を失ったのだと思う。周囲の人に、すぐ助け上げられたのも、迅速な気道確保も大きかったが、意識が低下していたので、肺にも水も入らず、脳にダメージも受けなかったのだ……と、これは私の見解だが。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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