「ユーモア」は「聴く」ことによって通じ合う

河合隼雄さんのエッセイ集である『こころの処方箋』の13番目のタイトルは、「冗談も休み休み言え」をもじった「マジメも休み休み言え」です。

ともかくマジメだが、何となく人に嫌われたり、うとんじられたりする人がある。言うこともすることもマジメで、その人の話を聞いていると、「なるほどもっとも至極」というわけで反論の余地がない。もっともだと思いつつ、しかし、心のなかで妙な反撥心が湧いてきたり、不愉快になったりしてくる。

河合さんのこの13番目のエッセイは、3番目の「100%正しい忠告はまず役立たない」のつづき、ともいえる内容です。それは「ともかく正しいこと、しかも、100%正しいことを言うのが好きな人がいる」という書き出しで始まるエッセイです。13番目は、それを「欧米の文化」と「日本の文化」に拡大し、対比させた上で、私たち日本人の心に「教訓」として響いてくるようです。

以前、ウォーター・ゲート事件の国会での証人喚問の際の実況中継を見ていて驚いたことがある。盗聴をしていた人間に対して、電話の受話器がその場に持ちこまれ、それを使って実際にどのようにしていたかをやれ、と命令される。その人はやおら立って受話器のところに行き、実演する前に、真剣な顔をして議員たちに向かい、「まさか、これは盗聴されてないのでしょうね」とやって、一同の爆笑を誘うのである。
もしこれと同様のことを日本の国会でやればどんなことになるだろう。「冗談も休み休み言え」どころか、全国民から厳しい非難を浴びることになるだろう。

いかがでしょうか?
国単位の文化比較をする場合は慎重であるべきです。というのも、どのような国であっても、一人ひとりは個性的です。それにもかかわらず、何千万、何億人が集積した国と国を、「A国の人は〇〇だが、それと異なりB国の人は△△だ」と、単純に「言葉」にしてしまうのは、そこにバイアスが生じていることが推定されるからです。

河合さんは、「同様な事象」に対して、その国の大多数の人が「どのように反応するか」という、「現象」の違いにフォーカスして論を進めます。河合さんの当該分析に、「自分はそうではない」という人もいるかもしれませんが、この事例に接すると「うん、アメリカと日本は違うんだな」と、腹落ちした理解につながりそうですね。
河合さんは、「ウォーター・ゲート事件のアメリカにおける究明と、日本における、たとえばリクルート事件の究明を比較してみた場合、どちらが本当に真剣にやったのか、という比較は、簡単に即断できないが、冗談まじりのアメリカの方が究明は手ぬるいと、言えないことには、誰でも同意するであろう」と、述べた上で…

日本的マジメは、マジメの側が正しいと決まりきっていて、悪い方はただあやまるしかない。マジメな人は住んでいる世界を狭く限定して、そのなかでマジメにやっているので、相手の世界にまで心を開いて対話していく余裕がないのである。これに対して、欧米人の場合は、自分がどんなに正しいと信じていても、相手の言い分を十分に聞かねばならないという態度がある。ぶつかりは烈しくなるか相手に対して心をひらくだけの余裕があり、余裕のなかからユーモアが生まれてくるのだ。

当該エッセイの本意は、河合さんの次の言葉に集約されると思います。

笑いというものは、常に「聴く」ことに通じるものである。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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