
(河合)
ええ、ええ、だからその戒を守らない者は罰せられるのではなくて極楽往生に失敗することになる。
(中沢)
罪をおかすことになるからするな、じゃなくて、これこれのことをすると肥溜めに落ちるぞ、だからやめとけというタイプの戒律ですね。
河合隼雄さんと中沢新一さんの対談集『仏教が好き!』の第3章「仏教と性の悩み」の3番目の見出し「一神教の戒律との比較」を取り上げる2回目です。
とても「真面目な事」を伝えつつ、ユーモアがそこに織り交ぜられると、ホッとします。
昭和世代の筆者にとって「肥溜め」は日常の景色でした。実際に自宅の隣は畑で、その隅に「肥溜め」があったのです。その隅と自宅は、路地をはさんで接していますから、「臭いなあ」と感じつつも、日常の風景として「なじんで」いたのですね。畑に毎日出ているおばあさん(今思うとそれほど高齢ではなかったようですが)は、ときおり野菜を分けてくれるので、持ちつ持たれつの関係でした(笑)。
その肥溜めを飛び越える遊びを、友達とときおりやっていたのですが(小学低学年)、ある時、飛び越える際にバランスを崩し、その肥溜めにドボンと落ちてしまったのです。そのときの「情けない感覚」は、いまも残像と共に記憶にしっかりと刻まれています(笑)。
なぜこのようなことを書くかというと、「これこれのことをすると肥溜めに落ちるぞ」が「これこれのことをすると地獄に落ちるぞ」に変った場合をイメージしたからです。
ユーモアがなくなったとき、そして「その言葉」を発する人物に帰依してしまっているケースにおいて、「その言葉」はどのように受けとめられてしまうのか。
「カルト宗教」と指摘される世界には、その「歪んだ戒律」が「洗脳手段」として組み込まれているようです。だから悲劇は起こってしまう。
お二人の対話は、仏教の戒律を定めた『律蔵』を大事にしている宗教として、「律宗」が話題に上ります。「平安時代に一時廃れてしまいましたが、鎌倉時代になって、新仏教の反動としてまた復興してくるんです。そのとき中心になったのが、意外なことに真言宗でした」、と中沢さんは「真言律宗」に言及します。
(中沢)
真言律宗というのが生まれますが、中心は奈良の西大寺です。ところがさらに驚くべきことは、その真言律宗のなかから、例の有名な性の仏教である真言立川流が生まれ出ます。
(河合)
あっ、ここから生まれるんですか。
筆者は「真言立川流」について、まったく知見を有してないので、グーグルで検索したところ、つぎの説明(AIによる概要)がトップに表示されました。引用します。
真言立川流は、平安末期に真言密教から生まれたとされる流派(または思想集団)で、男女の交会を即身成仏の道とする性的な秘術的教義で知られます。しかし、後世の文献や研究では、明確な流派として存在したか疑問視する意見もあり、実際には中世に広まった邪教的とされた思想や儀礼を「立川流」としてひとまとめにし、弾圧する際に用いられた名称ではないかという説もあります。
河合さんは「真言立川流」を、「邪教」とは異なる「柔らかい視点」で解説します。
(河合)
それはある意味でよくわかる。つまり、よい方法をじっくり考えたわけですね。「これはいけない」「あれはいけない」とほかの宗派があんまり言うから、「こんないい方法がある」というのができて、それが立川流になる。
ユーモアをどんなときにも忘れない河合さん(関西出身)の言葉を〆に、次回につなげることにしましょう。
(中沢)
それが仏教の戒律の本質に関わっていることなんだと思います。真言律宗も立川流も、それぞれまったく反対のやり方で、性の問題に雄々しく立ち向かっていたと言えます。
(河合)
はあ、すごいねえ。
(中沢)
関東で真言立川流は発達します。
(河合)
関西ではそういうことはいたしませんで(笑)。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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