何かあらかじめ内面の声というものがあって(たとえば感情)、それが声として外に表出されるのではない。声ははじめから他者に向けて送られる。他者に届けるということが声のふるまいである。
今回は『臨床とことば』第4章10番目の見出し、「律動」を取り上げます。
鷲田清一さんの一人語りであるこの最終章は、11の見出しで構成されますが、それも残り2つとなりました。
この『臨床とことば』は、第1章が河合隼雄さんの一人語り(5つの見出し)、第2章と第3章(15の見出し)は鷲田さんと河合さんの対話です。同書を最初に取り上げたのは、5月8日でした。全31の見出しの内容を一つひとつ丁寧に読み込み、コーチングを語ってきました。数えてみると今回で69回目となります(1つの見出しを2~3回に分けて書いたところもありますから)。
鷲田さんは、同書のまとめともいえる最後の3つの「見出し」を、「身震い」「律動」「声にふれる」としています。同書のタイトルは『臨床とことば』ですが、鷲田さんは、「臨床とは、身体感覚を研ぎ澄まし、その体感を心と融合させていくこと」…と見い出されたのではないか、と感じています(筆者としての気づきです)。
冒頭は、「律動」のスタートです。「声のふるまい」は鷲田さん独特の表現ですね。この後、鷲田さんは、「テープに録音されたわたしの声はわたしが話しながら聴いているじぶんの声と違って聴こえる」、と言葉にし、「他人はまぎれもないあなたの声だと言うから…」と、続けます。鷲田さんは「語り」の持つの一面を次のように指摘します。
わたしが語るとき、だれかに向かいながら、彼を見、ときにその反応に焦れて、からだを揺さぶりながら、あるいは彼を誘い込もうと宙で手を動かしながら、地団駄を踏みながら、そういうふるまいのひとつとして唸るように声をかけているのであって、じぶんの語る声をそれとして聴いているわけではない。
鷲田さんは「声」を「身体の蠕動」と捉えます。
声として発せられる身体の蠕動は、身体の他のさまざまな振動のなかに溶け込んでいて、そこから分離されてはいない。喉で、あるいは同時に差し出す腕で、その声を聴いているのかもしれない。(中略)
口を伝って出てくることばは、多くのばあい、わたしに先んじている。泣くから悲しいのか、悲しいから泣くのかわからないところがあるのは、とくに不思議なことではない。
鷲田さんは、ロラン・バルトの『第三の意味』のなかにある、文字の発明や洞窟画が描かれるずっと以前のこととして、「おそらく、人間と動物を根本的に区別する何事かが生じたのだ。それはリズムを意図的に繰り返すことである」、という言葉を引用します。ここで見出しの「律動」につながりました。
コーチングは「他律」ではない「自律」をその旨とします。クライアント自身が、「律動」していると自覚できたとき、すなわち「習慣化した動き」がとれるようになったとき、ゴールイメージは確かなものになるでしょう。「身体感覚と心が融合した」と、筆者は捉えようと思います。
このリズムがことばというものを生み出す。喉が絞り出す音に意味が住み着くようになるのだ。身体が奏でるリズムも信号となる。意味がおなじように対象のほうにも波及していって、葉ずれの音に神託さえ下りてくる。「自然は意味に身震いして物音を立てるのだ。少なくとも、ヘーゲルの語るところによれば、古代ギリシャ人はそういうふうに自然を聴いたのだ」(バルト)。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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