河合隼雄さんは『<心理療法コレクションⅡ>カウンセリングの実際』のなかで「動機づけのないクライアント」という一節を設け、コーチングにもつながる考えを提示してくれます。
動機づけがあるのかないのか分からない、拒否的でもないが自主的に来るのでもないという場合の方がむずかしいと思います。親や上役が行けと言えば来る。しかし自分から来る気はない。それで拒否的でもなく、何となく雑談のような話をするというクライアントは、なかなかカウンセリングが困難で、カウンセラーとしては相当慎重に考えて、引き受けるかどうかを判断しなければなりません。(53ページ)
河合さんは、「むしろ拒否的な態度を示す人の方がかえって容易である」と言います。表面にそれが現れるのは、潜在的に反対の意識(視点を変えれば興味をもっている)として、捉えます。
コーチングの場合は、カウンセリングと異なりますので、あからさまな拒否を示すことは少ないでしょう。そのかわり「自分で解決したい」「結局は自分自身のことだからコーチは不要」と、思い込んでいる人は存在します。
河合さんは、「癌ではないかと危惧しながら医者に行くのを嫌がっているとき、友人が無理やり引っ張っていって連れて行ってくれるとき、それに抵抗しながら心の片すみでは感謝しているようなことがあります」との例を挙げ、「無理に引っぱってきてでもカウンセリングすることによって、自分が役に立てるのではないか、あるいは、そうしなくてはならないという気もちが強く起こってくるときがあります」と述べるのです。
「自分は1人で解決してきた」と思っている人も、実際には多くの人に助けられて今があるのです。その人がそれに気づいていないのは、周囲が「黒子」のように接してくれていたのかもしれません。実際のところは、他者の援助を「自分の力だ」と、勘違いしている場合が多そうですね。
「コーチングに触れたことがない」「コーチングの本質をそもそも理解していない」人が友人から強く薦められて、コーチの前に初対面で座っている… このシチュエーションこそ「コーチの有するコーチング力が試される」ケースと捉えられます。
河合さんの視点を紹介します。
動機づけのないクライアントについて、要約して述べますと、カウンセリングを受ける気持ちの無い人にカウンセリングをするのはむずかしいことだが、クライアントの表面的な行動や言語にのみ頼ることなく、可能性を引き出すつもりでいれば、表面上は拒否的に見える人でも、カウンセリング可能なことは多いのだということができます。
今のことを裏返していいますと、カウンセリングを受けたい、何とかして自分の悩みを解消したいと言ってくれる人でも、心の底には、カウンセリングを受けたくない、悩みを解決したくないという心の動きも存在していると思います。(55ページ)
真のプロコーチとは、人のことを、クライアントのことを、五感で感じ取ることができる人のことを言うのです。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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