
(中沢)
……空虚をちゃんと分離できないでいると、いつまでたっても無気力なんだけど、こうやってそれを水として、川として自分の中に積極的に取り入れることができれば、それは豊かさの源泉になる。不毛をかきわけると、豊かなものが出てくる。
(河合)
それはいい言い方ですね。
河合隼雄さんと中沢新一さんの『ブッダの夢』を取り上げてのコーチング解説を重ねています。前回の最後で、「今回で、この18ページの見出しを取り上げてのコーチング解説を終え、次回より第3章の2番目の見出し『箱庭がクライアントの心を導く』に移ります」、とコメントしました。
2番目の前、つまり最初の見出しは「箱庭療法とは」とあるように、その内容は、河合さんによる中沢さんへの「箱庭療法講義」です。第2章までとは打って変わって、知性溢れる中沢さんの多弁な姿は影を潜めています。河合さんの言葉一つひとつ、すべてを聴き逃すまいと「聴き入る」中沢さんの姿が浮かんでくるようです。
さて、「箱庭療法講義」は終わりました。見出しが変わります。ここからは、中沢さんの本領発揮です。それにしても中沢さんのセンサー感度はすごいですね。筆者は中沢さんの「受容する力」に感動しています。一方で、話者はリベラルアーツの達人である河合さんです。「箱庭療法」は、カウンセリングの手法の一つですが、お二人の対話は、「箱庭療法」にテクニカルを超えた「思想性・宗教性」を見出していることが伝わってきます。
冒頭の引用の続きです。
(中沢)
空虚だってことを無理やり思い出させないために、そこにいろんな価値のありそうなものを詰め込んでごまかすんじゃなくて、ちゃんと空虚は空虚として分離して、自分の中に取り込めるように導いている、という印象を受けるんです。
見出しは「箱庭がクライアントの心を導く」です。中沢さんの視点が見出しとして採用されたわけですね。
中沢さんは「空虚さ」に分け入ります。私たちは、「空虚」に捉われることを本能的に回避するようです。「空虚を満たす」方法はさまざまでしょう。でも……
(中沢)
空虚さは、ふつうどんな人も心の中に抱えて生きているわけだけれども、その空虚さを満たすために、おしゃべりしたり、おいしいものを食べたり、おしゃれをしたりとか、旅行したりとか、いろんなことをしてごまかしていますからね。
(河合)
そういうのが全部虚しくなりますね。
(中沢)
患者さんたちって結局、空虚を埋めていくことができない人なんじゃないですか。ふつうに幸福って言われていることに、騙されないっていうのか。
「騙されない」は「肯定表現」です。デプレッションの状態に陥っている人を、「可哀そうな人」と捉える向き(上から目線?)が世の中では「ふつう」のようにも感じられます。中沢さんは違っているようですね。河合さんは、その言葉に応えます。固定化された価値観を超えていくお二人の語り合いに、筆者はコーチングを感じています。
(河合)
ふつうは騙されてるからデプレッションにならないんです。
(中沢)
だから、ふつうも異常ももとは同じで、真面目すぎたばっかりに、人生からふつうの価値が失われていってしまったというのか。
(河合)
そうそう。
コーチング情報局を運営する株式会社コーチビジネス研究所では、企業を対象としたコーチング研修、ビジネスパーソンを対象としたビジネスコーチング、個人の方を対象としたライフコーチングを提供しております。その他、コーチングを学びたい方のためのコーチングスクールの運営、経営者やビジネスリーダー向けにセミナーを開催しています。興味や関心がございましたら、お気軽にご相談・お問い合わせください。
This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
Coach Business Laboratory, Inc., which operates the Coaching Information Bureau, provides coaching training for companies, business coaching for business people, and life coaching for individuals. In addition, we operate a coaching school for those who want to learn coaching and hold seminars for executives and business leaders. If you are interested or have any questions, please feel free to contact us for further information and consultation.