『隆明だもの』は、「家族の信実」が顕現した別格の書!

今回より、四半世紀前に出版された『なるほどの対話』に替わって、吉本隆明さんの長女で漫画家であるハルノ宵子さん執筆の『隆明だもの』(2023年12月発刊)を取り上げることを予告しています。
その理由は、『なるほどの対話』でのばななさんと、『隆明だもの』にある姉妹対談でのばななさんの「語り口」がまったく異なっていることに驚きを感じ、「なぜこのように“変わること”ができたのだろうか?」と、興味を覚えたからなのですね。

『なるほどの対話』第3章の2番目の見出し「家族再考」で、河合隼雄さんと吉本ばななさんが、家族という“とても語りにくい領域”に触れていきます。そのときのばななさんは、笑いに逃げているような、言いよどんでいるような印象です。もちろん対談は軽やかで、ユーモアもあるのですが、家族の話題になると、ふっと空気が変わるのです。ただ、家族のことを「あけすけ」に話すことは「憚られるのが普通」だと思うので、それはそれで「よし」だと受けとめました。

ところが、『隆明だもの』での姉妹は、「父親(と母親)」について、「あけすけ」をも超越した、第三者目線というか、「ものすごいこと」を淡々と語り合っているのです。前回の冒頭で引用した続きを紹介します。対談に立ち合っている編集者は、「のっけからすごいお話ですね」と、思わず口にしています。

(吉本)
そうなんです。Aさんが、お父さんより年上だったことも初めて知ったんですよ。
(ハルノ)
かなり上だったね。
(吉本)
5歳くらい上だね。大正8年生まれ。だから大先輩の奥さんを取っちゃった。
(ハルノ)
寝取った。あ、いや寝てないか。
(吉本)
寝てないらしい。奪った?
(ハルノ)
そうか。奪った。だから、お父さんは苦しい思いをしたけど……。
(吉本)
Aさんのほうでもまた別の苦しみ……その後の人生で大きな別の苦しみの中に突入したらしく、うちの母のことは、すっかりその家族の中では問題にならなかったそうです。

姉妹は、しばらくそのAさんと父隆明、そして母和子について、想い出すように言葉を交わし合うのです。

筆者は「週刊文春」風の追いかけ方はしたくないので、少し考えました。戦後最大の思想家とリスペクトされている吉本隆明さんだけでなく、小林秀雄、島崎藤村、谷崎潤一郎…… 日本の思想史、文学史を彩る巨人たちは、例外なく“結婚の生々しさ”を抱えているのです。整っていない。むしろ混沌そのものです。

穿った見方かもしれませんが、「その混沌こそが創造性の源泉になっているのではないか…」との想いがきざします。偉大な思想家ほど、家族の物語は複雑になる。そしてその複雑さは、子どもにとって“語りにくさ”を生む。ばななさんの「言いよどみ」も、まさにその文脈にあることが伝わってきます。

ではなぜ、ばななさんは今になって、これほど率直に語れるようになったのか?
二人の姉妹は、父親である隆明さんの仕事を最も近いところで見ていた。父親が葛藤に悶えつつ、成熟の道を歩んでいったように、姉妹もそれぞれ成熟していった。そして、親が亡くなり、表現者でもある吉本ばななさんとハルノ宵子さんは、「家族史を素材として扱える段階」に入った。つまり「語り直し」です。「吉本家の物語」を成熟した視点で「再編集」する作業です。それが『隆明だもの』の「姉妹対談」に象徴的に顕われている。

このように「解釈」してみました。「解釈」はときに誤りを生みます。それでも、ばななさんとハルノさんは受けとめてくれるのではないか…と想像し(希望的観測?)、綴ってみました。
しばらくAさんと、その子どもさんの話が続きます。そして、いつしか母親の逸話に…… 紹介し、次回につなげていこうと思います。

(吉本)
……私たちと血が繋がっているわけでないんですけど、すごく不思議な感じでした。しかもまた、その連絡がある少し前くらいに、うちの倉庫からお母さんの作品が出てきたんだよね。
(ハルノ)
小説ね。そんなに長いものじゃないです。そのうち発表されると思いますよ。あと、まだお母さんの名前がAさんの名字で書いてあって。あの小説を読んで、母の恐ろしさを垣間見たね。
(吉本)
女!って感じ。だから私たちはこんなふうで、女!って感じじゃなくなってしまったんだ。作品を発表したときの出版社、書いてある住所がお父さんの部屋だったよね。
(ハルノ)
そうだね。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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