(鷲田)
あっ、そうですか。
(河合)
そのお医者さんには、いくら言っても酒がやめられない患者がいるんだけど、先生は僕の言う通り、だまされたと思ってその患者と辛抱強く付き合ってみたんだそうだ。何度か検診を重ねるうちに、ある時点からその患者の数値がパッと変わるんですよ。それでスーッとよくなっていかれたんですよ。そこで先生が患者に「えらい変わったな」と言うと、「先生はちゃんと付き合うてくれはったから教えてあげるけど、すごいことがあったんや」と患者が言うんですね。
『臨床とことば』第3章の8番目の見出し、「個より普遍に至る道」を取り上げてのコーチング解説は、今回で4回目となります。
「個人的なことはもういいから、一般的に通用する内容を話しなさい」と、会社の上司から言われたことはありませんか? 見出しの「個より普遍性」は、決してアカデミズム(学問研究)の世界だけではなく、会社のマネジメントにおいても問われることのようです。
多くの人が「臨床における個別事例」と感じてしまっていることにも、河合さんは、「普遍性は見出せますよ」、と言語化してくれます。その説明が「とてもロジカル」に感じるのは決して筆者だけではないと想像します。
冒頭の引用は、前回の解説で引用した対話の続きです。さて、その「すごいこと」とは何だったのでしょうか…
どんなことかと聞くと、その人はものすごく海釣りが好きなんですが、海釣りに行ったときに足が滑って「落ちて死ぬッ」と思ったんですよ。すごい恐怖感にかられたときに、ガッと助かるんですね。それで「これは死んだらあかん」と思ったら、パッと酒を飲む気がなくなったんです。そこから先、酒をピタッとやめたんだそうです。そこから生活が変わったんです。
「生活習慣を改めなさい!」と強く言うだけではなく、「一緒にやりましょう」と先生方が患者さんに伝え、寄り添うことで患者さんは変わっていきますよ…と、糖尿病学会で話した河合さんは、1年後もその学会に招かれます。上記「海釣り」の話は、ある医者が「そのケース」として発表している内容です。
さて、河合さんは、どのように「普遍性」につなげていくのでしょうか? この後に続く河合さんの話を引用し、今回の解説を終えることにしましょう。
……「わかった、わかった。これから糖尿病の人が来たら海釣りに行ってもらいます」と言うと、皆笑われましたが、そういうことを言っているのではないというところが、ものすごい面白いところやという話をしたのです。つまり、臨床の知の面白さは、個別性から普遍性に至る道をちょっと間違えたら失敗する。またそのことを言うてすぐにばかにする人がいるんですよ。「なんや、そんな話。海釣りに行ったって治るはずがないんやから。だから、そんなん聞いたって話にならん」などというのは、要するに、近代科学の方法論だけで、それを聞いている人ですよ。ところが、それを聞いて「あっそうか。おれももうちょっと付き合うてみよう」と思うお医者さんでも看護師さんでも何人か出てきたら、もう違うんですから。
だから、さっきの話もそうですね。どういう普遍性なほうへ話を持っていくかで、まったく違うことになるという例で、それもよく話すんだけど、さっきの看護師さんの例もすごくいい話ですね。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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