（中沢）
文化というのは、どの文化でも、ある美を実現する瞬間ってあります。美というのは、やっぱりさっき言った黄金数じゃないですけど、なんか特別な無理数を発見するんだと思うんです。
引用は、河合隼雄さんと中沢新一さんの対談を収めた『ブッダの夢』の第1章「仏教と癒し」の6番目の見出し「支柱を失った日本」の書き出しです。
この『ブッダの夢』を取り上げてのコーチング解説は、今回で9回目となるのですが、筆者は中沢さんの語る「美意識」に共感し、前回は「伊藤若冲」につなげ、コーチングを語ってみました。
「美」に接すると「感動」する。その「想い」を伝え合うコーチングセッションをやってみると「共感」が醸成され、コーチングが息づいてくる…という主旨です。
今回のコーチング解説はその続きなのですが、数学に造詣の深い河合さんを前にして、中沢さんは「数学的メタファー」を次から次へと繰り出します。
無理数は、分数で表すことができない数（√でしか表せない数や円周率など）であり、はっきりと説明できない概念です。あいまいさをはぎ取っていく「西洋的美」の方向ではない「あいまいな日本的美」を、無理数に仮託して中沢さんは語っているのです。
「黄金数（黄金比）」についても補足しておきましょう。
黄金数（黄金比）は、美や自然の中でよく見られる特別な比率（約 1.6180339887）です。この比率は、フィボナッチ数列や建築、美術、自然界の形状など、さまざまな場所で見つけられます。例えば、貝殻の渦巻きや花びらの配置、さらには美術作品や建築物のデザインにも黄金比が使われています。黄金比の魅力は、その均衡と調和が視覚的に非常に心地よいと感じられる点にあります。（生成AI～Copilotより）
「自分が確かめたい真理」を究明しようとする中沢さんの姿勢は「すごいな…」と、筆者は感じ入っています。一見あいまいである「無理数」を「なんか特別な無理数」に止揚したい（堅い哲学用語をつかってしまいました…要は「持ち上げる」という意味です）、という「想い」が伝わってきます。
お二人の対話における大きなテーマは、ありがちな「西洋文化と日本の文化は異なる」という視点をリフレーミングし、「両文化の結節は可能である」という試みです。「異質の調和」です。河合さんとはその「想い」を共有できていますから、中沢さんは“同志”として、コーチングの対話に臨んでいるのですね。
ただ、日本が不幸な方向に途を誤ってしまったことを、中沢さんは次のように振り返ります。一旦は「調停点」を見出したにもかかわらず…
（中沢）
日本の近代の場合、内側から来るものと外側から来るものがぶつかりあうのは、まあ、昭和十年頃じゃないですか。かろうじて、なんか調停点が来たなと思われるのは、宮沢賢治のころです。西田幾多郎や宮沢賢治のころ、調停点がつくられたなと思ったら、それが一気に国家主義のほうへすくわれていって、崩壊してしまった。……
中沢さんは、「調停点」をここかしこで言葉にします。宮沢賢治に「調停点」を見出した中沢さんに筆者は感動しました。“この感動”については、第2章の解説で取り上げてみようと思います。
同書のタイトルは『ブッダの夢』です。中沢さんは、レブィ・ストロースとジャック・ラカンを「わあっ、この人仏教徒だと思った」と、対話の早々で河合さんに告げているのですね。その根拠は…「なぜかというと、中観（ちゅうがん）のことを言ってるから」です。
これからも『ブッダの夢』を取り上げ、仏陀が夢見た「異質の調和」について語ってまいります。
コーチング情報局を運営する株式会社コーチビジネス研究所では、企業を対象としたコーチング研修、ビジネスパーソンを対象としたビジネスコーチング、個人の方を対象としたライフコーチングを提供しております。その他、コーチングを学びたい方のためのコーチングスクールの運営、経営者やビジネスリーダー向けにセミナーを開催しています。興味や関心がございましたら、お気軽にご相談・お問い合わせください。
This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
Coach Business Laboratory, Inc., which operates the Coaching Information Bureau, provides coaching training for companies, business coaching for business people, and life coaching for individuals. In addition, we operate a coaching school for those who want to learn coaching and hold seminars for executives and business leaders. If you are interested or have any questions, please feel free to contact us for further information and consultation.
