生物学的な「外形的差異」はそれとして…

(中沢)
男の人と女の人では、箱庭療法の表現に違いがありますか。
(河合)
簡単に言いにくいですね。男の人でも、結構、こういう流れない水なんか作るデプレッションの人は他にもいますからね。男だから女だからという言い方ができるかどうか、わかりません。
どっちにしても、異性というのは、ある程度大事だから、そうすると男の異性は女だし、女の異性は男ですからね。それは箱庭でも重要です。

河合隼雄さんと中沢新一さんの対談『ブッダの夢』第3章2番目の見出し、「箱庭がクライアントの心を導く」の中からの引用です。

私たちは、人について何かを語る場合、「男は…、女性の場合は…」と、自然に言葉にしています。人類が誕生して以来の永遠のテーマです。生物学的には、確かにさまざまな違いが見出せますから、そのことを根拠に、社会・文化の枠組み(制度)が形成されています。

中沢さんの質問に対して河合さんは、「簡単に言いにくいですね」と、まずは応えます。河合さんの著作をさまざま読んでいくと、この「男と女」については一貫したテーマ性が感じられます。生物学的な「外形的差異」はそれとして、「こころ」…つまり「内面的な違い」は「個性の違い」として表れてくる、という視点です。
加えて、宗教や文化の違いによって「男と女」の捉え方も変わってくることを、さまざまな現象・事例を踏まえて、語ってくれます。

この見出しの最後あたりで、中沢さんが、クライアントがつくった箱庭に登場する「ルビー」について触れています。「民話のようなお話」と言葉にし、「男同士だとやっぱり、隼雄ちゃんという男の友達と冒険に出るんでしょうか」と、河合さんに訊ねています。
この箱庭のケースは、女性のクライアントの化身である女の子の「あさ」が、「ルビー」という男の子(河合さんの化身のようです)と冒険の旅に出る、という物語なので、男性がクライアントの場合を想定して、質問しているのですね。

この「ルビー」についての物語は、2月27日に公開した「承認欲求を超越すると、その人が本来持っている素晴らしい人格が顕れる」というタイトルで紹介しています。再掲します。

(河合)
…… 次の日、起きると、あさは、見たらルビーがいないんです。このへんがとても不思議なんですけど、あさという女の子が箱庭では少年になっているんですよ。僕は、この話をしているときに、あさが男の子か女の子かわからなくなります。自分と同一視する点で女性なのですが、それが男性的な強さをもってきた点では男といってよい。そこで男女が混乱するでしょう。

この箇所に触れたとき、河合さんの代表的著作『とりかへばや、男と女(新潮選書)』を想起しました。
トランプ大統領の「この世の中には男と女しかいない」、という発言が物議をかもしています。LGBTQの否定です。これが「本心」からなのか、「政治的な意図」によるものなのかは「?」ですが、アメリカという国の深層に潜む価値観を、掘り起こしているようにも感じられます。

「箱庭がクライアントの心を導く」の最後、河合さんの言葉を引用して、今回の解説を終えることにしましょう。

(河合)
だけど、西洋流に言うと、男の場合は、戦うとか、怪物をやっつけてものを獲得するという、非常にわかりやすいテーマがあります。それがそのまま箱庭に表現されるときもあるし。
日本人の男性は、あまり戦わずに、なんとなく解決する人もいます。この人は、何かセンスがあるんですね。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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