すぐに答えの出ない問題を稠密に濃密に考え続ける。確かにこれはしんどい作業。苦しいけれども、そこからしか新しい知性は生まれてこない。これは政治家の仕事とすごく似ている。よく分からない問題で、いろんな人の声や意見も聴いて考え、いちばん妥当な判断をするからだ。
(日本経済新聞11月6日31面「期待高まる哲学 どう生かす~哲学者・大阪大学名誉教授 鷲田清一氏」より引用)
日経新聞の31面に、ほぼ全面に掲載された鷲田清一さんへのインタビューを引用しつつ、コーチングを語ってきました。今回で6回目となります。「政治家の仕事とすごく似ている」という言葉に響いています。
「政治決着」という言葉があります。ともすればネガティブなワードとして受けとめる向きもありますが、さまざまな利害が錯綜する課題に対して、「いろんな人の声や意見も聴いて考え、いちばん妥当な判断をする」こと…これを「政治決着」と呼んでもよいのではないでしょうか。多くの人の意見に耳を傾ける。そして最終的な判断する。まさに政治家の仕事であり、「異質の調和」を見出すことです。コーチングの本質は、その土台をつくっていく思想であり哲学です。
日経新聞の31面は「大学のいま」という継続テーマの紙面です。前回も一部引用した、インタビューを振り返る日経新聞元編集委員の玉利伸吾さんの言葉を紹介します。
かつては大学の一般教養課程で哲学や歴史が教えられていたが、次々に姿を消した。90年代以降、教養課程を廃止したり、人文系学部を縮小したりする大学が相次ぎ、哲学を通じて社会や人生を学ぶ機会は大幅に減った。鷲田さんは「哲学にとって、悲劇的状況」とみている。
70回ほど取り上げて解説した『臨床とことば』の中に、鷲田さんの問題意識が端的に語られる箇所があります(11月25日公開)。同書の初出は2003年ですから、20年前のコメントです。
ヨーロッパの人は哲学するときに、難しいことばじゃなくて、日常のことばでやっているんですね。「自我」なんてことばはない。ただの「私」でやってる。自我なんて訳すから、自我って死ぬんだろうかとか、自我って歩くんだろうかとか、変な話になっていくんですけど、……
鷲田さんは2007年から4年間大阪大学総長を歴任されています。哲学教育の“ある意味”解体を志向する哲学研究者が、旧帝大のトップに就任したというのは(珍しいケース)、京都・大阪の土地柄があったのかもしれませんね。
ただし、20年後の今、鷲田さんが嘆いているように、日本の哲学界(アカデミズム)の壁は分厚く、「哲学学」のまま、象牙の塔にこもってしまっているようです。
近代の哲学は、カントやヘーゲルなどドイツの哲学者を中心に体系化されました。哲学は「言葉の学問」ですから、多くのドイツ語(哲学分野)が日本語に訳されます。
代表的翻訳語に「弁証法」があります。この言葉は、1880年代にヘーゲルの思想が日本に伝わり、その際に訳された言葉です。とても重厚で堅い響きですね。
さて「弁証法とは?」と問われて、どれくらいの日本人がその意味を説明できるのでしょうか? コーチビジネス研究所は、独自の訳語として「異質の調和」を提起しようと考えています。その根拠として、生成AI(Copilot)の説明を以下に引用します。
これからもコーチングを語ることで、「難しい言葉をわかりやすく紹介する」ことを続けていこうと思います。
弁証法(べんしょうほう)は、対立する概念や意見を通じて真理に到達する方法や理論のことを指します。主に以下のような特徴があります:
対立の解消 : 対立する二つの立場(テーゼとアンチテーゼ)が対話や論議を通じて統合され、新しい理解(総合)に至ること。
発展の過程 : 弁証法は固定された結論に到達するのではなく、絶えず発展し続ける過程を重視します。
古代ギリシャの哲学者プラトンが初期の弁証法の基礎を築きましたが、弁証法的手法が広く認識されるようになったのは、ドイツの哲学者ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルの思想によるものです。ヘーゲルの弁証法は、歴史や社会の発展を理解するための枠組みとしても利用されました。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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