河合隼雄さんのエッセイ集である『こころの処方箋』の50番目のタイトルは、「のぼせが終わるところに関係が始まる」です。
この趣深いタイトルに接すると、「果たしてどのような内容なのか?」と興味がそそられますね。「ある若い女性から離婚の相談を受けた」と、このエッセイはスタートします。彼女の言い分からは、「夫は典型的なマザコンなんだな…」ということが伝わってきます。
こんなことの積み重ねのなかで、とうとうこれではたまらないから離婚を決意したという。いろいろ話を聞いていると、この夫婦は三年間の恋愛の末、似合いのカップルと皆に祝福されて結婚したのだという。
言ってみれば、三年間ののぼせの果に、結婚という現実的生活にはいったので、現実に直面してのぼせもさめた、というわけである。ところが、話を聞いているうちに、彼女の方に自分の父親との結びつきが強いことが明らかになってくる。
ひととおり、夫を非難した後、自分の内面に向かっていく本格的なカウンセリングとなっていったようです。のぼせているときは、相手の姿がよく見えない。「恋愛感情」が高まると必ず訪れるシチュエーションです。
河合さんは、タイトルの意味を次のように語ります。
のぼせの状態は、将来の真の関係の土台づくりに役立っていることが多い。そこには相当なエネルギーが流れるし、将来の関係の予想図や、反省すべき過去の問題などがごっちゃになって含まれている。だからこそ、のぼせの終わったところで努力すると、関係づくりがはじまるのである。
「のぼせ」の終わりは「イニシエーション」の始まりと解釈できそうです。そこで「のたうち廻って何とかくぐり抜ける」と、本当の関係「楽しむ」ことができる、と河合さんは言っているのかもしれません。
後半の内容は、深層心理学者である河合さんの姿が現れてきます。
のぼせるためには、理性的判断が少し弱まる、あるいは、理性的判断を超えるものが心のなかではたらいていなくてはならない。これは、自分の心のなかの深い部分が活性化されているのである。
このように考えると、「関係がはじまるという関係」は、相手に対する関係でもあるし、自分の心のなかの表層と深層との関係にあるとも言うことができる。「のぼせ上る」という言葉に対して、「関係を深める」という表現があるのも示唆的である。のぼせ上がった後で、下に降りてきて、関係を深くするのである。この深める作業はなかなか一朝一夕にはできるものではなく、長い期間と相当な努力を必要とするものである。
河合さんは、恋愛、夫婦関係に限らず、友人関係、師弟関係、あるいは人と物との関係などにも「のぼせとのぼせの終わり」があり、「関係の深まりの過程が認められる」と指摘します。つまり多くの人が、この「イニシエーション」を体験するのです。最後の2行を引用することで、今回の解説を終えることにしましょう。
(「イニシエーション」という表現は筆者によるもので、河合さんはここで用いていないことを、お断りしておきます)
ともかく、のぼせから醒めたときから、大切な仕事がはじまることを知っておかないと、せっかくののぼせを生かすことができないだろう。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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