前回は、わかりにくい「心象」を少しでも理解できるよう解説を試みています。河合隼雄さんは『<心理療法コレクションⅠ>ユング心理学入門』の四章「心象と象徴」の113ページで、次のように記述します。
以上、心象の意味の把握が困難である点を明らかにしながらも、心象がわれわれに対してもつ意義の重要さを示してきた。最後に、このような生命力を有する心象は、新しいものを生み出してゆく創造性へとつながってゆくことを述べねばならないが、この点については、次節における象徴の問題と関連して考察するのが適切であると考える。(113ページ)
そして「象徴、その創造性」を語る内容に転じます。
ユングは、象徴を記号または標識とかたく区別して考えた。彼によれば、一つの表現がある既知のものを代用し、あるいは略称している場合、それは象徴ではなく、記号である。これに対して象徴はたんなる既知のものの代用などではなく、ある比較的未知なものを表現しようとして生じた最良のもの、その他にはこれ以上適切な表現方法が考えられないという場合である。(中略)
しかし、十字架を、これまで知られることのなかった超越的なあるもの、これ以外ではうまく表現できぬもの、の表現としてみるならば、この場合の十字架は象徴的なものとなる。(114ページ)
ここで試しに、チャットGPTに「ユングの象徴とは?」と質問してみました。
ユングはイメージを二つの種類に分けました。一つは「記号」で、既知のものを代用したり略称したりする表現です。例えば、「鳩=平和」や「十字架=神の愛」というように、一般的に共有された意味を持ちます。もう一つは「象徴」で、未知のものを表現しようとして、それ以上適切な表現法が考えられないという場合です。例えば、超越的なものや無意識の世界にあるものを表すときに使われます。
チャットGPTは、河合さんのこの記述を使って説明していることが理解できました。なお、チャットGPTについて取り上げることが目的ではないので、ここにとどめます。
河合さんは「象徴」の解説に16ページを費やしています。コーチングとして「象徴」を深く考えていくと、河合さんの次の言葉に共感を得ました。
「象徴は受け取る側の態度に関係する」「あるものの背後に内在する未知の可能性に向かって開かれた態度を持つことが必要である」です。今回は、そのパラグラフを引用して、まとめとすることにしましょう。
あるものが象徴であるかどうかは、それを受け取るひとの態度いかんによっている。たとえば、十字架は初期のキリスト教の時代には生きた象徴として、表現しがたい神秘的なあるものを内在させていたと思われる。それが、後世になっては、キリスト教徒であることを示す一つの記号として受け取られることもあるし、あるいは、これらに無関心なひとにとっては、たんに二本の線を組み合わせたものと見えるだろう。これは、ある芸術作品があるひとにとっては大きい意味をもつが、他のひとにとっては何の意味ももたないような場合に比すことができる。このように、象徴が受け取る側の態度に関係することは大切であり、象徴の意味を汲みとろうとするものは、つねに、あるものの背後に内在する未知の可能性に向かって開かれた態度を持つことが必要である。(116ページ)
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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