みずから紡ぎだそうとしている物語をともに肯定してくれるその眼を求めるあまり、(ことばはわるいが)、その眼に媚びるということが起こる。つまり、治療者がともにたぐり寄せようとしている物語に“自分”を合わせてゆく。ポイントXを共同して仮構してしまうのである。
『臨床とことば』第4章5番目の見出し、「<語る/聴く>のなかの共犯関係」を2回ほど取り上げ、コーチング解説を行ってみました。今回は、6番目の見出しである「語りのゆくえ」に移ろうと思ったのですが……
引用(当該見出しの最後4行)に含まれる「その眼に媚びる…」という表現が気になって、そこからいろいろ考えてみました。「<語る/聴く>のなかの共犯関係」をもう一回取り上げてみようと思います。
「媚びる」からは、ちょっとなまめかしいイメージも伝わってきますが、そのイメージを取っ払うと「忖度」に変ってくるように感じられます。
自分に自信をもつ中小企業のオーナー社長。その社長が語る会社の将来像(物語)に感銘を受けて入社した。ただ…社長は自分がパワハラしていることに、どうも気づいていないようだ。「死ぬ気で頑張れ!」を多用する。辛い……
冒頭の引用は、カウンセラーである治療者とクライアントの関係を語っているのですが、治療者を「中小企業の社長」、クライアント(“自分”)を「その会社の従業員」として、読み替えてみると、「現実感」が増してきます。
社長の言葉に感銘を受けた。語る時の「眼」は、その物語を信じているし、迫力に圧倒される。入社した以上、この会社を辞めたくはない。ただ、一従業員である自分は無力だ。でも、社長の言葉に従っていれば、なんとかなる……
「トータルな人事権を持ち、従業員の給与も私が決める」…考えてみると、これほど強い「権限(力)」は存在しないように感じられます。会社のトップ、特に自ら会社を興した中小企業の経営者は、この「スーパー権限」を有していると考えられます。
このような経営者と従業員の関係性が固着してしまっている中小企業(忖度の常態化)だからこそ、エグゼクティブコーチングが求められるのです。最後に『コーチング思考』の23ページを引用し、今回のコーチング解説を終えることにします。
そこで、私は、社長に次のように問いかけてみました。
「もしあなたが従業員だったら、今かけていたような言葉を聞いてどう思いますか?」
すると社長はハッとしたような表情で、こう答えたのです。
「会社にいたくなくなると思いますね……」このような質問やフィードバックを重ねていくことで、社長は自分のパワハラ的な言葉を自覚するようになりました。すると従業員への対応が柔らかくなり、退職者も減少、そして時を同じくして売上が増え、業績が安定していきます。
この会社の業績が向上した要因はさまざまに考えられますが、私は社内の関係性がよくなったことが大きいと考えています。
「裸の王様」では、大人が王様が裸であることを伝えませんでした。しかし子どもは素直にそれを指摘し、王様はようやく服を着ていないことに気づきます。
この社長は、コーチという「子ども」のフィードバックを得ることで、自分の置かれていた状況に気づき、改善することができました。自分を変える勇気を持てる経営者が、会社を変えていけるのです。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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