臨床心理学の知見を直接実践として用いる「心理療法(カウンセリング)」と、実践としての「コーチング」は異なりますが、これまでCBLコーチング情報局では、世界の臨床心理学者が提唱した「さまざまな理論」を紹介しています。その理由は、カウンセリング、コーチングとも基盤とする「人間観」が共通しているからです(もっともフロイト派などは人間観が異なりますので、そのあたりも解説しています)。
ただ、治療がベースとなる「カウンセリング」と、健常者を対象とする「コーチング」の違いについては、詳しく触れていないので、今回は、その「実践」の異なっているところに焦点を合わせ、説明してみようと思います。
『<心理療法コレクションⅣ>心理療法序説』の第八章「心理療法の初期」の中で、河合隼雄さんは次のように語っています。
治療を引き受けることは治療者として大変な覚悟がいる。クライエントと歩みを共にすることに相当なエネルギーが必要とされることも予想される。しかし、クライエントはそれほどのことと思っていないことが多い。治療者によって「治してもらう」と思っている。そんなときに、治療を受けるときは大変で、クライエントも努力が必要だということを説明してもわかってもらえないことは多い。(189ページ)
コーチングでもセットアップは極めて重要です。「ボタンの掛け違い」でセッションが始まってしまうと、途中の修正もかなりエネルギーを要することになります。ただしカウンセリングは、よりシビアです。
河合さんは最初に、「時間を守らないと会いません」「いくら苦しくとも……はして下さい」「……はしないで下さい」などの課題を設定することがあると言います。
ただ、その課題も告げない場合のあることを河合さんは次のように説明します。
心理療法の過程はあまりにも苦しいものだから、そのようなことをしない方が得策のこともある。たとえば、強迫症状や離人症などのような場合、心理療法の過程で妄想や幻覚などの精神症状が生じたり、強烈な不安のため何もできない、というようなことも生じてくる。言うなればそのようなことが生じないように症状によって守っている、とも言えるのである。そこで、クライエントによって説明可能な人に対しては、心理療法の過程について説明し、そんなことするよりは、症状と共に、自分にとってやりたい仕事をして生きてゆくようにするのはどうか、ということを述べて、クライエントに選択してもらうようにするとよい。もちろん、症状があるのも辛いことだが、その方がいいかもしれないのである。そして、あまりにも症状が苦しくてたまらなかったら、あらたにきていただくことにするのである。(190ページ)
いかがでしょうか?
コーチングのコーチを目指し、さまざま学習する過程で、コーチングとカウンセリングの違いを、徐々に理解していくことになります。
河合さんの語る「心理療法」の実践に触れると、その違いが鮮明になってくるようですね。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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