
(中沢)
僕は人間が起きているときのいちばんそれに近い体験というのは、経済ではないかと。ことに資本主義経済というのは、この夢はひどい夢だと思って(笑)、見てるわけでしょ。けれども、どうしようもない。これをこっちへもっていくということはできないわけですから。資本主義、お金の流れというのはどうしようもないわけで、ベルリンの壁を踏み倒してどんどんいくわけでしょ。それをみんな白昼夢のように見ているわけです。
『ブッダの夢』第6章「汎神論風夢理論のこね方」の、10番目の見出し「資本主義の悪夢をコントロールしようとした社会主義という夢理論」の冒頭を引用しています。
中沢新一さんと河合隼雄さんのこの対談が実施されたのは1991年6月です。「ベルリンの壁を踏み倒して…」という中沢さんのコメントは、もちろん「ベルリンの壁崩壊」を意味しています。1989年11月9日にその壁が崩壊したわけですが、この大事件を世界は、社会主義陣営崩壊の序曲と受け止めました。
ペレストロイカ(改革)とグラスノスチ(情報公開)を掲げ、ソ連の改革を訴えたミハイル・ゴルバチョフが大統領に就任したのは、1990年3月です。ところが、そもそも矛盾を抱えていたゴルバチョフ政権は、早々に限界を露呈します。8月に保守派のクーデター未遂事件が起こり、ゴルバチョフ大統領の権威は失墜。12月になると、ソ連構成国が次々と独立を宣言し、文字通りソ連は解体されてしまいます。
ロシアという国家(帝国ではない新しいロシア)も、ここで誕生します。初代大統領はボリス・エリツィンです。1991年6月、ロシア共和国初の大統領選挙でエリツィンは圧倒的支持を受けて当選します。1990年8月の保守派によるクーデターによって、ゴルバチョフ大統領はクリミアで自宅軟禁状態に置かれます。クーデターは失敗したので、大統領は解放されますが、そのクーデター阻止の立役者が、ロシア共和国の最高会議議長を務めていたエリツィンだったのです。戦車の上に立ち、演説した姿が映像として世界に発信されます。この姿は、今でも多くの人々にとって、ロシアの歴史的瞬間として記憶に焼き付きました。
中沢さんのコメントに刺激され、1989年11月のベルリンの壁崩壊から、1991年6月まで1年8カ月の激動のソ連を、駆け足で振り返ってみました。
河合さんとの対談は、エリツィン大統領が誕生する、まさにそのタイミングです。「民主主義(資本主義)の勝利!」を確信した西側陣営は、興奮状態でした。にもかかわらず、中沢さんは、資本主義経済を「ひどい夢だと思って見てるわけでしょ」、と言葉にしています。「それをみんな白昼夢のように見ているわけです」とも。「ここは少し強引な主張だな」、と感じます。ただ、それも理解できます。日本はバブル崩壊の足音が聞こえていましたから… 「資本主義」の捉え方は、実にさまざまです。
ここで、2025年の今、新進気鋭の経済学者は、世界の未来をどのようにパースペクティブしているのか… 成田悠輔さんの新著『22世紀の資本主義 やがてお金は絶滅する』についてレビューを試みたコラムにリンクを張っておきましょう。
中沢さんは30年以上前に、その後の資本主義の流れを言い当てているように思われるのですね。「預言者」なのかもしれない(笑)。
対談は河合さんと「夢理論」を語る内容です。冒頭で引用した、中沢さんの言葉は、この「夢理論」に触れているのですが、「経済原理」をクールな視点で捉えている中沢さんの続きの言葉も引用しておきましょう。
しかも、起きている人間が実際に株式相場を動かしているわけですからね。その流れを自分たちで操作していると信じているけれども、まったくそんなことはない。神の見えざる手がやっているだけでしょ。ですから、セノイ族の夢理論やチベットの理論からみれば、今の世界は、制御不能な悪夢となりつつある。
6月2日に、<「コーチング×アンゲラ・メルケル元ドイツ首相」…政治がリベラルアーツを見失なうと何が起こるのか、について考えてみました>というタイトルのコラムを公開しています。大越キャスターの「メルケルさんから見て、プーチンさんはどのような人物ですか」という質問に対するメルケル元首相の回答を、最後に引用することにします。同一現象にもかかわらず「真逆」の受けとめ方になってしまう…というのも「人間たちの真実」ですね。
(メルケル元首相)
プーチン大統領は早い段階で言いました。彼にとって20世紀最悪の出来事はソ連崩壊だと。そのソ連崩壊は私にとっては独裁政権からの解放でした。彼はウクライナとベルラーシが、独自の道を進むのが許容し難いのです。
コーチング情報局を運営する株式会社コーチビジネス研究所では、企業を対象としたコーチング研修、ビジネスパーソンを対象としたビジネスコーチング、個人の方を対象としたライフコーチングを提供しております。その他、コーチングを学びたい方のためのコーチングスクールの運営、経営者やビジネスリーダー向けにセミナーを開催しています。興味や関心がございましたら、お気軽にご相談・お問い合わせください。
This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
Coach Business Laboratory, Inc., which operates the Coaching Information Bureau, provides coaching training for companies, business coaching for business people, and life coaching for individuals. In addition, we operate a coaching school for those who want to learn coaching and hold seminars for executives and business leaders. If you are interested or have any questions, please feel free to contact us for further information and consultation.